日本国内のホテルや旅館、観光地が悲鳴を上げる状況が続く中、再注目されるMICE事業
急激な円高によって、海外旅行がかなり賑わっているが、その分国内旅行の落ち込みが大きい。震災の影響もあり、海外からの日本への旅行はまだまだ十分に回復していない。
日本国内のホテルや旅館、観光地が悲鳴を上げる状況が続く。
観光庁がまとめた2010年の国内の旅行、観光消費動向調査によると、宿泊旅行の平均回数が、年間あたりで1割程度減少しているという。
そこで国内旅行の打開策として再度注目されているのがMICEだ。
MICEとは、Meeting、Incentive、Convention、Exhibitionの4つのワードの頭文字をとった言葉で、旅行とイベントやコンベンション、エキシビションを組み合わせた事業モデルのことだ。
昨今とりわけ旅行会社やホテル業界が注目するのは、特に、MのミーティングとIのインセンティブだ。
これまで使われてきたMICEのイメージでは、海外のホテルや旅行関係者がMICEという言葉を使っていたこともあり、国際会議や展示会などグローバルなイベントを兼ね備えたイメージがあるが、現在注目されるMICEは、国内でのミーティングや研修、報酬旅行を中心としたものが多い。
その理由のひとつは、派手なイベントやコンベンションが世界的な景気低迷もあり、減少の傾向にあることに比べ、企業の研修やインセンティブは堅調であることだ。また、毎年継続して行う確率が高く、安定した売上が狙えることもある。
さらに、昨今の流れとして、外資系企業を中心に、戦略的にミーティングやコンベンション、インセンティブなどを企画・運営していく「ストラテジック・ミーティング・マネジメント」という考え方が浸透してきており、MICE自体が経営課題のひとつとして取り上げられる機会が増えてきているのも大きな要因となっている。
予算が厳しくなる中で、広告的要素が強いイベントやエキシビションに対し、よりパーソナルでダイレクトなメッセージやプレゼンテーションが可能で、費用対効果が測定しやすいミーティング形式のイベントやコンベンションに施策が移るのは至極当然のことでもあり、こうした流れは今後も続くと思われる。
かつて、インセンティブの旅行といえば、大企業が全国の系列販売店や特約店などをリゾートホテルや海外旅行などに招待したり、地方の顧客を東京の一流施設に案内したりするなど、単なる接待旅行というイメージがあったが、もはやそうした慣例的なイベントではなく、社員を含めて、仕入先から販売店、顧客までを含めたサプライチェーンの中で、意義ある研修やコンベンションやイベントによって関係性を深め、エンゲージメントを高めていくことがひとつの経営課題となっている。
旅行会社にとってみても、単なるイベントの発注ではなく、経営パートナーとしての手腕を求められるわけで、これまで旅行会社が担ってきた役割とは一味違うビジネスモデルだ。
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