「強みに焦点を当てよ」は、研修担当者に何をメッセージしているのか?
そのように考えると、これからの研修担当者の仕事は、次の3つだ。一つ目は、各々が自らの強みを自覚、把握できるような支援を行うか、仕組みを作ること。次に、その強みを伸長できるような機会や計画を用意すること。もちろん強みは多様であるので、それを伸長する機会も計画も多様でなければならない。三つ目は、多様な強みがそれぞれに伸長していることをチェックし、機会や計画を修正し続けることだ。
これまで行っていた研修のブラッシュアップを図るとか、新しいコンテンツや講師を探すとか、そういう仕事とは全く異なるが、それがパラダイムを変えるということである。業務上共通して必要な知識やスキルなど、一律に教えたほうが効率的な内容を集合研修で行うという仕事も、もちろん残っていいが、それは組織を強化するための研修担当者の主たる仕事とはなりえない。
今のところ研修担当者の仕事は、イベント的になりがちである。研修の内容以外に、予算管理、講師との調整、会場設営、資料の準備、備品の準備、広報、そのほか細かな調整ごとも多く、社内イベントの担当者と似たようなところがある。が、強みに焦点を当てた場合には、それが多様であり個別性が高いため、労務管理に近い仕事に変わってくる。社員の強みや個性をいかにたくさん、深く知っているか。その要望を理解し、いかにきめ細かく応えられるか、が大切になってくる。「ウチの社員は、レベルが低い」と言いながら、年に何回かイベントを打つのではなく、各々の強みに焦点を当て、個別にその伸長に対する支援を行うのが、これからの研修担当者のパラダイムであり取り組みにならねばならない。
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NPO法人・老いの工学研究所 理事長
高齢期の心身の健康や幸福感に関する研究者。暮らす環境や生活スタイルに焦点を当て、単なる体の健康だけでなく、暮らし全体、人生全体という広い視野から、ポジティブになれるたくさんのエビデンスとともに、高齢者にエールを送る講演を行っています。