今日は、ある地方自治体がホームページを全面的にFacebookに移行した話題を取り上げます。「意味がわからない」「すばらしい試み」賛否両論のこの動きはアリか、ナシか。
とはいうものの、プライバシーポリシーがFacebookページ利用を前提としていないとか、当初はSSL接続のことを何も考慮していなかったとか、Facebookへのアクセスを制限されている企業内からのアクセスではJavaScriptをオフにして(!!)元のドメイン名へアクセスしろなんて無茶を指示しているうえにその情報がFacebookでしか閲覧できないとか、Facebookページ内でのサイト内検索が実装されていないとか、仕様上の事前に詰めておくべきだった点に関する突っ込みどころは多くあります。まぁ、そのあたりは徐々に改善されていくでしょう。
また、クリックすればトップページへ行くという共通認識であるページ左上ロゴをクリックすると武雄市とぜんぜん関係ないFacebookのトップページに飛ぶ(しかも未登録ユーザーならユーザー登録画面!)とか、ページ左にメインナビゲーションがあるのはFacebookユーザーならわかるけれども、何の知識もなく最初にウォールが表示されたときに、上部にログインボックスとかアカウント登録推奨バーとかあってどこから情報を見ればいいかわからないのではないかといった、Facebookに慣れていないユーザーが情報収集をする際のユーザビリティ上の問題点も多いでしょう。いちど、想定する市民などのパネルを対象にユーザビリティテストを実施してみることをオススメします。
さらに言えば、どのコンテンツがどれくらい見られているかなんて適切にアクセス解析を使えばいいだけの話であって、そうした基本ができていないならどんな場に行っても結果は同じだろうとか、「いいね!」の数なんて実際のサイレントマジョリティの一部の声しか反映していないのでそれだけを見るのはエンタメ系以外では判断を誤る可能性があるとか、まぁ、アレな部分はいろいろとありますので、今後の運用にあたっては解析系の専門家の声も聞き入れるといいでしょう。
◇ ◇ ◇
とはいえ前述のように、武雄市としては、何か達成したいことの手段の1つの「とっかかり」としてのFacebookページ利用でしょうから、今後の動きに注目ですね。
1点だけ読者の方に強く伝えたいことは、「市役所ホームページのFacebookページへの全面移行」という表層的な事実だけをもってこの事例をとらえるのは愚かしいことだということです。ソーシャルメディアという場は今後の地方自治体にとっても重要なのは確かですが、場は場であり、大切なのは全体として達成するべきゴールとそのためのコミュニケーション設計です。地方自治体のWeb担当者さんがもし「こちらで武雄市さんのようにFacebookに全面移行を」という提案を受けても、安易にほいほいと乗ってしまわないように注意してくださいね。
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2008.09.26
2010.04.20
安田 英久
株式会社インプレスビジネスメディア Web担当者Forum編集長
企業のウェブサイト活用やウェブマーケティングに関するメディア「Web担当者Forum」(http://web-tan.forum.impressrd.jp/)を運営しています。