今日は、ある地方自治体がホームページを全面的にFacebookに移行した話題を取り上げます。「意味がわからない」「すばらしい試み」賛否両論のこの動きはアリか、ナシか。
Facebookページに全面移行するということは、それだけ閲覧者に不要なオーバーヘッドを課すことになります。
在住者・通勤者・観光者と、年齢から職業から幅広いユーザーを対象とする地方自治体のオンラインコミュニケーションとしては、わざわざFacebookという新たなインターフェイスへの習熟を強いるのは適切なのでしょうか。私とてこうした仕事をしているのでなければ、おそらく「今自分が知らない何か新しいもの」の習得は、何らかのメリットがなければ喜んで行うことはないでしょう。本来ならば市民が平等に受けられるはずの市役所からの情報提供サービスを受けるのに、講習を受けなければわからないような仕組みを介するのは、私ならばご免被りたい。ましてや、お年寄りはそういったことを望まないでしょう。
とはいうものの、そうした「新しいもののバリア」はインターネット初期にもあったこと。インターネット以前に比べれば、ネットを介した情報コミュニケーションというのは、ほとんどの人にとって「新しいよくわからないもの」でした。そういった意味では、大きな問題ではないと考えるのもアリでしょう。
いま武雄市に関する話は「Facebookページに全面移行した」というツールや場の話題が中心になっていますが、ツールや場はあくまでも手段であり、本当に重要なのはそうした手段によって「何を達成するのか」です。
本当にオープンなコミュニケーションを実現したいのならば、場ではなくその運営がポイントとなります。それは今後ずっと続くものであり、Facebookを通じて市とコミュニケーションをしようとする人が増えれば増えるほど、今よりもはるかに工数がかかる面倒なタスクになっていくはずです。
まさかFacebookページへの移行がゴールではないでしょうから、11月に実装される予定だという「誰も思いつかない、とっても便利な機能」や、今後の行政コミュニケーションの運営によって、この移行が市政や市民などステークホルダーにとってどんな意味をもつのかが見えてくるでしょう。
突っ込みどころは多々あれど
Facebookページ移行で最も大きな問題となるだろう基本的な仕様については冒頭に記載したように大筋では問題をクリアしているようですし、iframeで作るFacebookページも、実際のところなかなかよくできています(iframeコンテンツに対して普通の人はパーマリンクがわからずリンクを張れないという、SEO的には致命的な欠点がありますが)。
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2008.09.26
2010.04.20
安田 英久
株式会社インプレスビジネスメディア Web担当者Forum編集長
企業のウェブサイト活用やウェブマーケティングに関するメディア「Web担当者Forum」(http://web-tan.forum.impressrd.jp/)を運営しています。