トールサイズのコーヒーが560円。驚きの高価格だ。スターバックスのドリップコーヒーはトールサイズで340円。490円と定番メニュー中最も高価な「ダークモカチップフラペチーノ」と「コーヒージェリーフラペチーノ」の価格をも軽く上回る。そんな商品を提供する狙いは何だろうか。
「店員と会話してコーヒーの知識が学べるコーナー」を見ていると、もう1つ、スタバの狙いが見えてくる。
高価な「スターバックスリザーブ」を注文した来店客にバリスタはベタ付きしているわけではない。基本は「3分間コーヒー教室」だ。そして、その客は実はさほど滞在時間が長いわけではない。それもそのはず。客のニーズは「美味しいコーヒーをオシャレで落ち着く空間で、抽出の勉強をしてから楽しみたい」というコーヒーを中心としたものだからだ。
スタバで最も滞在時間が長いのは、何冊ものテキストを開いて勉学に励んでいる客と、パソコンを取り出して仕事(?)をしている客だ。つまり、「空間的価値」に重きを置いている。そんな客は1時間はアタリマエ。2時間を超える時間を過ごす者も少なくない。(ちなみに、この原稿はスタバで執筆中で、書き始めて現在1時間が経過している。恐らくWebにアップする頃にはあと15分ほど要するだろう)。
商売の基本は「売上=客数×客単価」だ。そして、客数にかかわる変数として「回転率」は大きな要素となる。スタバの新展開は、「回転率が高く、高単価な商品を注文してくれる客」を狙う戦略であるとも考えられるのである。
どのような顧客に対し、どのような価値を提供するのか。そして、そこからどの程度の対価を得ようとするのか。また、「客数×客単価」の結果である「売上」をどのように設計するのか。恐らく、スタバの新展開は従来と異なる別のモデルを模索する実験だ。その成否しばらくウォッチしてみたい。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。