スタバ対抗!キーコーヒーは勝てるのか?

2011.05.06

営業・マーケティング

スタバ対抗!キーコーヒーは勝てるのか?

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

 キーコーヒーが個人経営喫茶店を、コーヒーチェーン店に対抗できるような店舗とする支援を開始するという。その背景と勝負の行方を考えてみよう。

 上記のように4P(商品・価格・販売拠点・プロモーション)で、スタバとキーズカフェを比較してみたが、キモはやはりスタバに対する「プレミアム戦略」が奏功するか否かにかかっているだろう。先に旧来の個人経営喫茶店に対する低価格カフェ、低価格カフェに対するスタバを3C分析的に考えた結果のように、「明確なニーズを持った顧客の存在」がカギとなる。
 現在、市場に存在するスタバが取り込めていないニーズギャップを持った顧客とはどのような存在だろうか。
あくまで個人的な見解だが、スタバのコーヒーに慣れるとついつい忘れてしまうが、スタバのコーヒーに足りないものは「香り」ではないだろうか。筆者は趣味で神田神保町界隈の古い喫茶店に行くことがある。その中には時流に合わせて完全分煙をしている店もあり、店内に入るとコーヒーの香りにはっとする。「香りの品質」は1つのカギだと思う。
 もう1つはフードの充実ではないだろうか。スタバがフードを改訂したのは2002年のこと。味に対する不満の声も多かったことから、パン・デニッシュ類をパンのアンデルセングループから調達することとした。常にフードメニューのラインナップは入れ替え、改訂を行っているが、デニッシュが半分近くを占めるメニューは高カロリーで、健康志向やダイエットを気にする顧客には手を出しにくいように思われる。そうした、コーヒーやフードの「味」にまだまだ満足できていないターゲット層を取り込むことが必要となる。
 もう一方、ターゲットとして取り込みにくい層もある。「味」以上に、スタバの「空間」を重視し、対価を払っている層だ。キーズカフェは狭小スペースにも展開できることを個人事業主への売りとしているため、店舗のスペース効率も重要視されると思われる。パソコンを広げて1時間も2時間も過ごす快適性を求める顧客は相変わらずスタバに通うだろう。
 とすれば、KSFはズバリ「味」となる。

 「キーズカフェ」は現在、福岡県や埼玉県など3店舗で試験的に営業されており、今期中に10店舗、3年で全国50店舗の展開を予定しているという。50店舗はまだまだ、「規模の経済」が効く店舗数ではない。それだけに、キーコーヒーの全面バックアップのもと、各店舗があくまで「味勝負」で「プレミアム戦略」を実現できるかにかかっているといえるだろう。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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