日本経済新聞の記事によると、ファストファッションの「フォーエバー21」は無料スタイリングのサービスを、新規オープンする「ららぽーと横浜店」で実施するという。同社の戦略意図はどこにあるのだろうか。
4月8日付・日本経済新聞にわずか1段154文字枠の記事が掲載された。タイトルは「無料でスタイリング フォーエバー21(米カジュアル衣装大手)」。短いので全文を転載する。
<30日に開業する「ららぽーと横浜店(横浜市)で従業員がスタイリストとして1対1で来店客の服選びを手伝うサービス「スタイリングステーション」を実施する。サービスの利用は無料とし、インターネットや電話で予約を受け付ける。国内店舗での実績は初めて。>
東北北関東大震災から1ヶ月が経過した。未曾有の災害で犠牲になった人々に対し哀悼の念を表すと共に、原発停止による電力需要逼迫も手伝って、「自粛」が東日本だけでなく日本中に広がった。4月9日付の同・日本経済新聞はそれにともなう景況感の急速な悪化を伝えている。3月の街角景気指数も最大の落ち込みを示し、企業業績では三越伊勢丹ホールディングスの首都圏旗艦店で3月の衣料品売上高が5~6割減ったという。自粛と共に、震災後の景気に対する不透明感から消費者は不要不急の消費を抑制している。それは百貨店だけでなく、ファストファッションも例外ではない。
震災後の伸びない客足にいかにテコ入れをするか。そのためには、まずはターゲットを見極めねばならない。
フォーエバー21の日本での展開は2009年4月29日に原宿に第1号店をオープン。次いで1年後の2010年4月29日に松坂屋銀座店のグッチの後継テナントとして、大型店舗「XXI Forever at GINZA by FOREVER 21」をオープンさせ話題となった。3号店は同年12月23日に「HMV渋谷」跡に渋谷店として出店。そして、今回のららぽーと横浜店が4号店となる。
これまでの出店を見ると、原宿・渋谷という若者の街の店舗と、銀座松坂屋とららぽーとという幅広い年代を集客する店舗に分類できることがわかる。事実、銀座松坂屋の「XXI Forever at GINZA by FOREVER 21」の店内を見ると、母・娘での来店や、主婦グループ、ファミリーの来店も多く目に付く。ららぽーとはショッピングセンター(SC)という形態からして、ファミリー層の来店も多いと推測される。
話は「自粛」に戻る。日本経済新聞が日経電子版の登録会員を対象に実施したアンケートによれば、<回答した4823人のうち77.9%が「行き過ぎと思う」と答え、「そう思わない」は12.2%。若い年代ほど「自粛ムードは行き過ぎ」ととらえる人が多く、年齢層が上がるほど「行き過ぎとは思わない」人が増える傾向が鮮明>(電子版4月7日記事より)だったという。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。