仕事は収入機会であるばかりでなく、成長機会、感動機会、触発機会、学習機会、貢献機会、財成機会でもある。仕事は機会(チャンス)の固まりである。その固まりを給料をもらいながら得られるのだから、なんとも会社は有難い。
「私が一三歳のとき、宗教のすばらしい先生がいた。
教室の中を歩きながら、『何によって憶えられたいかね』と聞いた。
誰も答えられなかった。先生は笑いながらこういった。
『今答えられるとは思わない。でも、五〇歳になっても答えられなければ、
人生を無駄にしたことになるよ』」。
(『プロフェッショナルの条件』より)
強く優れた組織は、必ずと言っていいほど、長期の理念やビジョンの下に進んでいます。個人のキャリア・人生についても同じことが言えます。「50歳までに何か自分の存在意義を残したい」というのはある種の理念であり、ビジョンです。
変化の激しい時代ですから、20代、30代、40代は実にいろいろなことが起こるでしょう。成功もあれば失敗もある、順風も吹けば逆風も吹く、漂流や停滞する時期が幾度となく訪れる。若いころは悩みや迷いがつきものです。しかし、「50歳の時点で納得したキャリア・人生を送っているかどうかが本当の勝負だ」と腹を据えていれば、短期の波風などは楽観的に見つめられるようになります。ですからどうか、長期のどっしりとした想い・ビジョンをもって仕事に向かってください。
少子高齢化や人口動態の変化を受けて、メディアは「縮むニッポン」というフレーズを使いはじめました。考えてみれば、大人がこうした悲観を含んだ表現を使うことは、これからを担って立つみなさんには失礼な話であると思います。みなさんはどうかこうした悲観の言葉に飲み込まれないでいただきたい。どうか「縮んでたまるか」という気概をもって、だらしのない大人たちを目覚めさせてください。
では、みなさんが50歳になったときにまたお会いしましょう。そこでみなさんお一人お一人が「自分が憶えられる何か」が見つかっていますように(祈)。
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2010.03.20
2015.12.13
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表
人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。