サントリー「オールフリー」が、先行するキリン「フリー」に敢然と牙をむいた。その緻密な戦術を分析してみよう。
さらに、ターゲットが認知したとしても、まだ売れない。手に取らせることが必要だ。販売チャネル(Place)での棚確保だ。それも普通に酒類の棚に並べていたのでは、リーダーとの差別化はできない。そこでサントリーは新たなターゲットとの接点を作り出した。
写真は筆者がスーパー・西友のレジ横で見かけたものだ。通常、ガムやアメ、乾電池などレジ待ちの客に対し「ついで買い」を誘うコーナーに、専用什器を用意して展開しているのである。当然、冷えていない。コンビニエンスストアの来店客は「買ってすぐに飲みたい」というニーズがあるが、スーパーの客はもっぱら持ち帰りである。また、専用什器での販売に限った限定の価格(Price)での提供も行い、手を伸ばさせるモチベーションを高めている。
リーダーに挑むチャレンジャーはターゲティングが巧みでなければ勝つことはできない。リーダーが既に支持を集め、多くのユーザーを取り込んだ環境のなかで「スキマ」を探し、切り崩し、新たに取り込んでいくことが求められるのである。
リーダーとして君臨している企業やブランドに挑んでいるチャレンジャーは各業界・市場に数多くいるだろう。サントリー「オールフリー」の「ニッチ切り崩し戦略」からは学ぶところが大きい。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。