今日は、企業サイト(コーポレートサイト)の重要性とそのガバナンスについて。緊急事態になって、その重要性を改めて認識した人も多いのではないでしょうか。
千葉県の製油所の火災では「有害物質が降ってくる」というデマが流れましたが、コスモ石油は3月12日にそうした情報を否定する公式発表を掲載しています。この対応が遅ければ遅いほど、混乱が広がっていたでしょう。
また、ドコモやKDDIのようなインフラを担う企業は、情報をコーポレートサイトで1日に何度も更新してリリースしていました。東京電力のコーポレートサイトでは、平常時には1日に1件程度のリリースですが、3月11日から21日までの間に160件以上の情報更新をしています。
必要に応じて「通常と異なる」判断をする必要がある
震災関連の情報の企業サイトでの出し方を見るとわかるように、コーポレートサイト上にメッセージを出すスペースを特別に作って臨時情報を掲載しているサイトも多かったようです。
通常のフローとは異なるやり方ですが、コンテンツ管理システムの通常のフローでは十分にメッセージを出せず、臨時に特別な処理をしたWeb担当者さんもいたことでしょう。「久しぶりにDreamweaver触って更新したよ」という人もいたかもしれません。
また、定期発行しているメールマガジンや出稿している広告を止めるのかそのままにしておくのかの判断も必要です(多くの企業がテレビCMを差し止めたためにテレビではACの広告ばかりになっているのはご存じのとおりです)。
CMSのテンプレートも更新ワークフローも広告発注フローも、日常にあわせて作っているはずです。緊急時には、通常とは異なる判断が必要です。だから大切なのは、だれがその判断をするのか、判断して実行する権限をもっているのか(または行動できるのか)です。
有事には、経営陣は「どんな情報を発信するか」を考えても、「サイトでどう見せるか」まで考えられる状態ではないはずです。だから、企業の外向けのコミュニケーションを担うWeb担当者さんは、「いまこの状況で、コーポレートサイトでは何をすべきか」を、いち担当者の視点を越えて考えて判断する必要があるのです。
Web担当者に権限がない場合は経営者に確認することになりますが、その場合でも「どうしましょうか?」とただ聞くのではなく、「こういうリスクがあるからこう処理するのが適切だと判断するが、そのように実行してもよいでしょうか」という確認のしかたができるといいですね。
Webサイトに出す情報は企業として明確に決定する必要がある
とはいうものの、企業サイトに出す情報は、Web担当者が独断で決められるものではありません。企業としての経営判断と対外コミュニケーションとして決定されたメッセージである必要があります。
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2008.09.26
2010.04.20
安田 英久
株式会社インプレスビジネスメディア Web担当者Forum編集長
企業のウェブサイト活用やウェブマーケティングに関するメディア「Web担当者Forum」(http://web-tan.forum.impressrd.jp/)を運営しています。