今回の東北地方太平洋沖大地震と、福島原発の事故のため、被災地の方々だけでなく、首都圏の人々にも大きな影響が出ています。
ビジネスに与える影響も甚大です。弊社も他人事ではないのですが、あらゆる業界・業種の企業・組織が、今後の業務活動において難しい判断・決断を迫られているものと思います。
こんな時、どのような姿勢で立ち向かえばいいのか?
たまたま、本日の日経産業新聞の連載コラム、「哲学で拓くBIZテク」では哲学者、ジャン・ポール・サルトルの考えが紹介されていました。私なりに咀嚼してお伝えします。
サルトルは、「実存は本質に先立つ」と説きました。実存とは、私たちの存在そのもの、生き方そのもの。本質とは、あらかじめ決められた「運命」のようなものです。すなわち、サルトルが言わんとしたことは、人は、ただ運命に従うのではなく、自らの意思で人生を切り拓いていくべき存在でもあるということです。
今回の地震や原発の事故が、仮に「運命」として事前に定められていたことだとしても、私たちは、その運命を受け止めるだけでなく、自らの行動で自分たちの今後の在り方を自由に描くことができるし、それを実現する力があると言えるのではないでしょうか。
そもそも、私たちは一定の自由があるだけでなく、多数の制約に囲まれています。つまり、どんな状況においても、私たちには制約の中での自由しかないのです。
こうした状況を乗り越えるための基本的姿勢として、サルトルが提唱したのが「アンガージュマン」でした。アンガージュマン(仏語)は、英語であれば、今のマーケティング業界のバズワードでもある、'Engagement'(エンゲージメント)のこと。
これは、積極的な関わりを意味します。状況を壁と感じて立ち止まるのではなく、むしろその状況に積極的に関わり乗り越えていく。つまり、苦難から逃げない。現状を直視し、乗り越える方法を考える。
現在の苦境に対処する最善の方法は、「アンガージュマン」だと、私は確信します。
*上記記事は、日経産業新聞(2011/03/15)の「哲学で拓くBIZテク」の記事を参考にしました。
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2009.10.27
2008.09.26
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。