昨日の「中野マルイ」の続編のような記事が3月9日付・日経MJに掲載された。そこから再び百貨店の明日の姿を考えてみよう。
「何でも取りそろえて」、「どんなお客様にも満足してもらえる」という「百貨店」という名称通りの展開に、逆張りの施策を打ったのがかつての有楽町西武だった。ターゲットを絞り、「百貨」ではなく、「七十貨」や「三十貨」でも十分やれるという戦略だった。その背景には、バブル経済独特の高い商品単価、高額な商品を欲しがる顧客という構図があった。
記事の事例である2つの百貨店もターゲットを絞り、品揃えも集中している。その意味では、旧来の「百貨店」ではない。しかし、「中野マルイ」と共通している思想は、「売る側が売りたい品物と顧客を選んでいるのではない」ということだ。
紙面の隣には「三越銀座店 増床オープン半年」という記事が掲載されている。同店店長に対するインタビューである。記者は「くつろぎの空間顧客から高評価」とコメントし、インタビューでも来店客数も売上げも上々である旨が記されている。しかし、その結果に安心しているわけではなく、「婦人衣料、手頃価格充実 要望多く春夏物から」とタイトルにあるように、ボリュームゾーンの商品を増やすなど改善の手を緩めることない姿勢が伝えられている。
消費が上向いてきたとはいえ、人口減少など市場縮小は否めない。限られたパイのなかで生き残るためには、「百貨店の勝ち組」的なポジションを手に入れつつある三越銀座店でも、「売りたいモノを売る」のではなく、顧客の声に応えていくことが必要なのである。
【関連記事】百貨店生き残りのキーワード?「中野マルイ」は誰を狙う? http://www.insightnow.jp/article/6373
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。