3月7日付・日経MJに「中野マルイ」の記事が掲載された。「丸井中野店」を老朽のため2007年8月26日に閉館させ、創業の地に今年1月28日にリニューアルオープンした店舗だ。都心の店舗にも集客力は負けていないという、そのヒミツは「地域密着」のようだ。そこにこれからの百貨店の生き残り策が隠されているといえる。
店舗は「地下1階地上6階建てで、直営部分の1~5階の売り場面積は約4,950平方メートルと旧本店の約半分に縮小した」という。狭い売り場面積をどのように使うのか。重要なエピソードが掲載されている。顧客の声を集めたところ、「1階靴売り場の品揃えに不満が多いと判明。隣のギフト売り場を一部縮小して靴売り場を広げる案が固まった」という。
「店が売りたいモノ」ではなく、「顧客が必要としているモノ」を売る。極めて当たり前な話だが、なかなかそこに意識を向けることは難しい。
「丸井中野店」の閉店によって、その跡地は立て替えの際に「本社関連施設を建設予定であったが、地元の陳情を受け、店舗と本社機能オフィスの複合ビル建設に計画を変更」(Wikipediaより)したという経緯があるという。「中野マルイ」に生まれ変わる過程で、日経MJの記事にあるような「地元密着を徹底」になるような「住民との対話」がベースにあるのである。
自社のポジショニングは誰が決めるのか。
もちろん、最終的には自社であり、その意思決定は経営者の責任だ。しかし、ポジショニングの基軸は「顧客の買う理由=KBF(Key Buying Factor)」、つまり「なぜ、自社を利用してくれるのか、買ってくれるのか」を考え抜いて、または対話の中から汲み取って作り上げていくのである。
タイム誌が選んだ「20世紀の3大広告人」の1人、レスター・ワンダーマンは、「主人公は商品ではなく、顧客である。(The Consumer , not the Product must be the hero.)」とその根本思想を語っている。
「中野マルイ」は、「主人公は商品ではなく、顧客」にして、「ふらっと立ち寄れて楽しく過ごせるみんなのマルイ」になったのである。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。