3月4日付・日経MJフードビジネス面に掲載されている大小いくつの記事。そこから共通する業界としての現状、市場の環境、そして消費者のニーズを読み取ってみよう。
■ちょっと高めだけど・・・舞台はコストパフォーマンス競争に?
「節約疲れ」をすくい取ろうという動きがもう1つある。「サラダバー付きステーキ・ハンバーグ店へ転換 ファミレス各社が加速 客単価は高め」という記事。すかいらーくは「ステーキガスト」、ロイヤルホールディングスは「カウボーイ家族」への転換を進め、客単価は1000円未満から1000円台にUPを狙っているという。撤退した店舗をそのまま活用するエムグランドフードサービスの「けん」がステーキ・ハンバーグ+サラダバーという店舗形態を開発し、ファミレス業界がこぞって追随している構図だ。景気の低迷で内・中食全盛の時代でも、家庭料理と思われているハンバーグは、実は焼きムラなどができてうまく焼くのが難しいといわれ、08年頃から「煮込みハンバーグソース」が人気となった。その後、ハンバーグ専門店も次々に登場し、サラダバーも「家庭で買えば野菜が高い!」と人気になった。セントラルキッチンでの集中調理と、大量購買による仕入れの力を活かして、コストパフォーマンスを高めた業態が人気を呼んでいる構図だ。記事にもあるように、類似店が多くなることで、今後は競争が激化する。競合との差別化が課題だ。「デザートブッフェ」の充実など、メインメニュー以外の「付随機能」が勝負のしどころになってくるかもしれない。
■ハンバーガー業界での差別化はニッチ狙いで?
「ハンバーグ」ではなく、「ハンバーガー」に目を転じてみれば、そこにはマクドナルドという強大なコストリーダーが君臨している。業界2位・モスバーガー、3位・ロッテリアとの差は店舗数でも売上げでも歴然だ。そんな業界に一度撤退して再参入してくるのが「ウェンディーズ」だ。「米ウェンディーズ、日本再上陸 単品で500円超投入」という記事。高級素材を使用し、日本人の味覚に合わせて独自商品開発。今秋から5年で70店出店を目指すという。1000円超の高級バーガーは密かなブームとなっていて、個人経営の単独店も多い。15店舗の小規模チェーン展開ながら、根強い人気を誇っているハワイアンバーガーのクァアイナもメニューは1000円前後。700円~800円の価格レンジでは首都圏で37店舗を展開するバーガーキングもいる。70店舗は少ないようで、意外とハードルが高いかもしれない。旧ウェンディーズのブランドをどこまで継承しつつ、中~高価格帯のスペシャルティー・バーガーとしてのポジショニングを確立するのかがポイントだ。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。