『Start with Why: Hwo Great Leaders Inspire Everyone to Take Action』の著者、Simon Kinek(サイモン・キネック)氏が、「TED(Technology Entertainmet Design)Conference」で行なった講演の動画をご覧になったことがありますか?キネック氏の話は、まさにInspiring(示唆に富む)もの。大変面白く、かつわかりやすくので必見ですよ。
さて、彼は、スティーブ・ジョブズや、マーティン・ルーサー・キングといった偉大なリーダーたちはまず、「Why(なぜ)から語っている」と述べています。そして、Whyを実現するために
・How(どうやって)
・What(何をするか)
という順序で話を進めるのです。つまり、偉大なリーダーは常に次のような順序で語っているのです。
Why ⇒ How ⇒ What
実際、スティーブ・ジョブズは「私たちのライフスタイルに革命を起こす」という'Why'を印象的に語った上で、
・美しくデザインされて使いやすい(How)
・iPod、iPhone、iPadといった製品を(what)世に送り出す
と続けることで、人々の熱狂と共感を起こすことに成功していますし、結果として同社製品は世界中を席巻していますね。
一方、世の中に出回っている多くのメッセージを見てみると、'What'から始まっていることがほとんど。
・こんな製品を出します(What)
・これはこんな設計に基づいています(how)
しかも、なぜ、その製品、あるいは企業が、世の中に存在する価値・意義があるのか=Whyまできちんと語られていることがありません。モノが欠乏していた時代ならともかく、現代は、'What'から語り始めても人の興味・関心を呼び、また、購買意欲を喚起させることはできないのです。
企業のコミュニケーションは、「Whyを語ること」から始めなければなりません。それは、企業や製品の社会における存在価値・意義をまず相手に理解してもらうことです。なぜなら、人々はもはや、'Why'が明確でない企業、製品を受け入れてくれないからです。
ただし、キネック氏の主張に補足させてもらいたいのですが、単なる'Why'では駄目だということ。'Big Why'であることが望ましいということを強調したい。'Big Why'とは、一個人の生活を超えて、地域全体、あるいは国全体、世界全体、さらには宇宙全体に変革・革命を起こすというレベルまで'Why'のレベルを高めたもの。
まあ、「宇宙全体」は多少オオゲサとしても、実際、世界全体の大問題=グローバル・ビッグ・イシュー(地球温暖化、熱帯雨林の消失、旱魃・飢饉等)を企業経営の主軸に沿え、これらの解決に寄与すること(Why)を最初にメッセージとして前面に出しているグローバル企業が増えつつあるのです。
フィリップ・コトラーの『マーケティング3.0』では、マーケティングの目的の変遷を次のように示しています。
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2015.07.10
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。