思考力は行動の源泉でもあるために、曖昧な思考力の脆弱化は、仕事を具体的に指示されなければできない社員、みずからの仕事をみずからつくり出せない社員が増えることと決して無関係ではない。
◆輪郭線で写実するのではなく、内から精神的内容で満たせ〈ロダン〉
最後に、彫刻芸術の巨人オーギュスト・ロダンの言葉を書き留めておく(いずれも『ロダンの言葉』高村光太郎編集、講談社より)。これらの言葉の行間には、にじみが溢れている。そのにじみを大いに曖昧に味わってほしい。
「良い彫刻家が人間の胴体を作る時、彼の再現するのは筋肉ばかりではありません。其は筋肉を活動させる生命です。われわれが輪郭線を写し出す時は、内に包まれている精神的内容で其を豊富にするのです」。
「凡庸な人間が自然を模写しても決して藝術品にはなりません。それは彼が“見”ないで眺めるからです」。
「肉づけする時、決して表面(スルファス)で考えるな。凹凸(ルリーフ)で考えなさい。君達の精神がすべての上面にあるものは皆其を後ろから押している量の一端だと見做す様になれと思う。形は君達に向かって突き出たものだと思いなさい。一切の生は一つの中心から湧き起る。やがて芽ぐみそして内から外へと咲き開く。同じ様に、美しい彫刻には、いつでも一つの強い内の衝動を感じる。此が古代藝術の秘訣です」。
※曖昧に考える力〈上〉~ソリッド思考・ファジー思考
http://www.insightnow.jp/article/6278
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【ソリッド思考・ファジー思考】
2011.02.03
2011.02.03
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表
人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。