相手を説得するためには、 ・頭で納得してもらう ・心で納得してもらう の両方が必要です。
まず、「頭で納得してもらう」というのは、セールスの場面なら、製品の品質や機能の良さや価格の妥当性を上手に説明して、「この製品は私のニーズを充足・解決してくれそうだ」と論理的に理解してもらうこと。
ですから、頭で納得してもらうためには、豊富で正確な商品知識や具体的なデータを元にわかりやすく説明できることが肝要ですね。
一方、「心で納得してもらう」というのは、同じくセールスの場面なら、「この会社(人)なら大丈夫そう」と感情的に受容してもらうことです。
つまり、心で納得してもらうためには、要するに、セールスパーソンに対する、見込み客の「好意」を高める必要があるのです。
好意を高める方法にはいくつかありますが、ひとつは「類似点を見つけること」です。出身地や出身学校、好きな趣味など、なんらか見込み客と共通点を見つけることができれば、一気にお互いの距離感が近づきます。
さて、好意を高める方法として、「お世辞」も非常にパワフルであることが最近の研究で明確になってきたようです。
「お世辞」って、‘根も葉もない’という形容詞がつくくらいですから、逆に反感を持たれそうに感じられます。
しかしそうではないのです。
愛知県の大手自動車販売会社では、セールスマンごとの新車販売台数の成績と顧客によるセールスマンに対する評価点との関係を調べてみました。その結果、さまざまな評価ポイントのうち、「お世辞がうまいかどうか」が、セールスパーソンの販売成績に一番大きい影響を与えていたのです。
つまり、お世辞のうまいセールスパーソンほどたくさん売っていたというわけです。おそらく、お世辞によって、セールスパーソンに対する好意度がアップしたからでしょうね。
同販社では、セールス研修メニューに「お世辞講座」を早速組み込んだとのこと。
やみくもにお世辞を言えばいいわけではもちろんないでしょうし、販社の置かれた状況などによって、常にお世辞が最も有効ということではないようですが、「お世辞は好感度アップにつながり、結果的に、セールス増に効果がある」というのはある意味、目からウロコ的発見ですよね。
まあ、いち消費者として考えてみても、多少上滑りなお辞儀だとわかっていても、それなりに気分は良くなるもの。気分よくさせてくれる人だと、思わず財布の紐もゆるくなるというのは実感として納得できます。
セールスの場面に関わらず、家族や同僚、友人知人との交流においても、「お世辞パワー」を適切に活用したいものです。
*上記本文中、愛知県の自動車販売会社の事例は、 日経MJの記事「成長へのみちしるべ」(11/1/31、11/1/24)から引用しました。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。