大ヒットした「桃ラー」の次を狙う商品は多いが、大本命は「食べる焼肉のたれ」ではないか。なぜならそこには、背水の陣ともいうべき背景が透けて見えるのだ。
売上=顧客数×客単価である。「黄金の味 具だくさん」はリリースによると小売参考価格(税込)368円だという。客単価としては特別高くなるわけではない。しかし、牛肉離れしている消費者にも、肉にも依存せず単独で用いられる「食べる調味料」カテゴリーに食い込めるなら、客数は劇的に伸びる。
売上げを左右するもう一つの要素は購買頻度だ。購買頻度など、顧客の購買行動をもとに顧客価値を計る指標として、通信販売会社などを中心に用いられている「RFM分析」という手法がある。R(recency=最新購買日):最近いつ購入したか、F(frequency=累計購買回数):どのくらいの頻度で買っているか、M(monetary=累計購買金額):いくら使っているかだ。
焼肉のたれを購買する顧客を一人一人管理することはあり得ないが、この新商品のもたらす効果がどのようなものであるかRFMで考えることができる。焼肉に依存せず、単独で様々な食材に用いられ、「白いごはんのおかず」にもなるとすれば、食卓での登場機会はます。容量130gだというから、あっという間に1びん使い切ってしまう。RとFは極めて高くなる。その味にはまって買い増しすれば、Mも増すこととなる。極めて優良な顧客を大量に作り出すことができるのだ。
減少する使用機会のなか、待っているだけでは生き残ることはできない。「黄金の味 具だくさん」の牛肉に対する下克上的な立場の転換、もしくは独立は、「桃ラー」の後を狙う存在という以上に見習うべきところがあるだろう。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。