市場環境が変わった。消費者のニーズが変化した。そして、既存の製品が行き詰まった。手をこまねいているわけにはいかない。リニューアルだ。しかしどうやって?・・・そんな時には、「製品の価値を見直して、コンセプトを明確にすること」である。
例え既存の価値構造を分解し、組み替え、新たな製品価値を創造したとしても、それが受入れられなければ全く意味がない。製品にどのような価値があるのか認められるには、それを用いる人やシーンによって大きく異なるからだ。自社が検討した「価値構造」を、顧客が理解できる「コンセプト」に変換する必要がある。
上記のカラフルに生まれ変わったノートパソコンの価値構造をます、検証してみよう。
計算・ドキュメント作成・インターネットの使用がパソコンとしての「中核」だ。ノートパソコンなら移動可能なことも加わる。計算・ドキュメントの作成・インターネットなどがやっとやっと動くのではなく、快適に利用できる性能、さらに持ち運びするならある体の軽さや丈夫さが中核を実現する「実体」として求められる。製品の魅力を高める「付随機能」は、メーカー独自のデザインやカラーバリエーションなどがそれにあたる。
オンデマンドスリーで販売されているパソコンは、旧式なので、実体の性能に関しては最新モデルや年数の新しい中古機より劣るだろう。一方、付随機能は昨今のノートパソコンはカラーバリエーションを競い合っているが、同社の塗装仕上げは色の多彩さ、仕上げのキレイさで次元が違う。
コンセプトは、いわゆる「4W1H1B」で整理できる。Who?:誰が・どんなターゲットが/When?:いつ・どんな時に/Where?:どこで・どのような状況で/How?:どのように用いると/Benefit:どのような便益があるのか/Why?:なぜ、その便益が実現できるのか。
まず、「誰にとって」:Who?というターゲット像が重要だ。上記の通り、性能はシビアに求めないとすると、ネットの閲覧やメールのやりとり、カンタンなテキストの作成を主とする初心者か、サブマシンを使う人ということになるだろう。
When?・Where?=外出先、特に人に見られるような状況で、How?=バリバリと仕事をこなす道具ではなく、ファッションの一部として用いることで、Benefit:自分自身を演出することができる。Why?:安っぽく見えない、携帯電話や超高級車並の塗装で高級感が演出できるから。というようになるだろう。
同社のWebサイトを見ると、商品が紹介されており、次々に「完売しました!」の表示が出されている。コンセプトを受入れ、価値を認めた顧客が多数いることが見受けられる。
ともすればうち捨てられてしまう中古品に新たな価値を吹き込んで、価値を認めてくれる人に届けるリユースの取り組み。その価値構造の組み替えと、新たなコンセプトの構築は、冒頭に記したように、中古品だけでなく、販売が行き詰まった製品を生まれ変わらせる時などにも十分応用できる。
大切なのは、自社の製品がどのような価値を顧客に提供しているのかを「分解」して考えることと、価値を認めてくれる「顧客は誰なのか」をしっかりと考え直すことである。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。