回転寿司チェーンのトップが入れ替わった。しかし、乱世の如くトップの座は今後もめまぐるしく交代する可能性が高いという。
回転寿司業界はなぜ、下克上が起こりやすいのか。それは、「仕入れ」→「調理」→「接客」という飲食業のバリューチェーン上で、差別化要素が少ないからだ。「接客」という俗人要素を極限まで削減したサービス。調理は「にぎり」といっても、シャリは「寿司ロボット」が握る場合が多い。調理という製品の加工度を高めるプロセスや、接客というサービスで付加価値を付けるプロセスが削減されているからだ。どうしても「仕入れ」の段階に依存する比率が高くなるのである。
競争戦略で戦う方法は大きく分けて3つある。1つはコストを武器に戦うこと。「コストリーダーシップ戦略」という。もう1つが差別化要素で戦うこと。「差別化戦略」という。もしくは、特定市場に集中して戦うこと。「集中戦略」という。
この戦いは、「回転寿司」という特定市場の中での戦いだ。そして、そこは差別化困難な市場だ。コストリーダーをめぐる戦いは「水の中で息を止め合う勝負」のようなものだ。勝負のポイントは、原価率を抑えること。そのためには前述の通り、「規模」がモノをいう。どこも規模化してトップを取り、価格交渉力を握ることを狙う。その一方で、利益率を抑えて原価率を高めるガマン比べをするのである。しかし、ガマンにはおのずと限界がある。ガマンは絶対的で継続的なKSFたり得ない。ガマン比べをすれば、牛丼業界の二の舞だ。
この業界がどこへ行くのか、目が離せない状況である。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。