仕事とは「IN→THRU→OUT」の価値創造である

2011.01.04

仕事術

仕事とは「IN→THRU→OUT」の価値創造である

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

仕事とは端的に、「何かをINPUT〈入力〉し、THRUPUT〈処理・加工〉し、何かをOUTPUT〈出力〉する価値創造である」と言える。そこからきょうは「仕事・よい仕事」とは何かについて考える。

 「いただきます」「ごちそうさま」に念を込める。ご飯茶わんのお米を最後の一粒まできちんと食べる。これらは生命をくれたコメに対する最低限の感謝の行為なのだ。もっと言えば、その吸収したエネルギーで「よい仕事」をアウトプットすること、これこそが最大の感謝である。コメもみずからの生命が、人間様のよい仕事に変換されれば本望だろう。だから私も、今晩食べたブタや大根、ニンジン、昆布などに最大限の感謝をしようとこの原稿を一生懸命書いている。
 さて、きょうはそんなことを前置きとしながら、「仕事とは何か」「よい仕事とは何か」について考えたい。

◆仕事とは「IN→THRU→OUT」の価値創造である
 「仕事とは何か」の定義についてはさまざまに行うことができる。きょうはここで、「INPUT/THROUGHPUT(以下THRUPUT)/OUTPUT」の3語でそれを考える。下図はそれを表したものである。

 端的には、「仕事とは、何かをINPUT〈入力〉し、THRUPUT〈処理・加工〉し、何かをOUTPUT〈出力〉する価値創造である」と言える。

 詳しく説明しよう。まず、私たちが自分の仕事を振り返るとき、それはさまざまなもののINPUTによってなされていることがわかるだろう。例えば私がこの記事を書くにあたって、他の人の著作や、他の人が整理した情報を吸収している。他の人の著作は、さらに言うと、誰かが編集・製本・刊行・販売してくれたもので間接的にそれらの人たちの知識や労働も取り込んでいることになる。
 また、私はこうした自己啓発的な記事を書くにあたり、自分に啓発を与えてくれたさまざまな人間の精神エネルギーも受けている。さらには、世の中の流れを感受して、こんなような内容の記事が必要だろうと思って書いている。そして、当然ながら、こうした執筆仕事をするにはよく考え、よく動けるための健康な身体がいる。そのためによく食べる。食べるとはすなわち 動植物の生命を摂取するということだ。

 このように私たちが行う仕事は、まずINPUTすることから始まる。何をINPUTするかといえば、知的な素材、精神的な素材、物的な素材である。それは例えば、
  ・他者が行った仕事(作品・サービス等)
  ・他者の想い
  ・環境(自然・世の中)からの啓示
  ・(生産のための)原材料
  ・動植物の生命  ……といったものである。

 次に、こうしてINPUTしたものを私たちは、もろもろの能力、自らの価値観を基にした意志、そして身体を用いて処理し、新しい価値を生み出そうとする―――これがTHRUPUTの過程である。
 このTHRUPUTは個々それぞれが持つ、いわば価値創造回路のはたらきによるもので、仮にまったく同じものがINPUTされたとしても、人によってTHRUPUTとその後のOUTPUTは異なる。

次のページ「能力×意志×身体」による固有の価値創造回路

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村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

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