冷え込む消費とは裏腹に、活気づくソーシャルビジネス関連は少なくない。決してお金に余裕があるわけでもないが、それでも資金や時間を惜しげもなく提供する若者たちがいる。
NTTデータ経営研究所が発表した「働きがいに関する意識調査」によると、「働きがいを感じている」と答えた30歳代は、9.4%しかいない。
また、「3年前と比較して、働きがいはどのように変化していますか」の質問に対し、約半数の人が「働きがいが低くなった」と感じているという。一方で、「働きがいが高まった」と感じている人は、22.5%に留まっている。
さらに、「働きがいが低くなった要因」は「会社の将来性が感じられないから」(42.7%) 「今の仕事を通じて、達成感を感じられないから」(33.3%)、の順となっている。
この結果を見て、40歳代後半以降は、「もっと仕事に打ち込めば、やりがいが生まれてくる」「悩む前に一生懸命やれ」などと言うかもしれない。
しかし、もはやそこに答えはない。彼らにとっての仕事とは、達成感、周囲への貢献、社会とつながり、他人とのコミュニケーションを図る手段として満たすことができるかどうか、という側面が強い。その条件を仕事が満たすことができなければ、仕事以外に求めていく。
こうした傾向は、消費傾向にも現れている。アップルやイケアの成功は、これまでのマーケティング理論では片付けられないことが多い。機能やコストだけでは説明することは難しい。利用者や顧客は、至れり尽くせりのサービスが受けられるわけでもなく、むしろ負担や犠牲、不便さを強いられる場合もある。さらにその状態を楽しむことすらある。
モノが売れないのではなく、彼らのニーズを満たすモノやサービスがまだまだ少ないのだ。彼らは自分自身の独自性、自分の居場所の確認、社会に対する参加意識を得るためには、犠牲はいとわない。いよいよ作り手側に新しい「モノづくり」への価値観が必要になってきた。そうしない限り彼らの消費意欲を喚起することは難しいだろう。
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