「Web担当者」から「ウェブマスター」へ

2010.11.02

IT・WEB

「Web担当者」から「ウェブマスター」へ

安田 英久
株式会社インプレスビジネスメディア Web担当者Forum編集長

今日は、「ウェブマスター」の話を。そう、Web担当者ではなく、ウェブマスター。企業ウェブサイト全体を司る役割です。御社では「ウェブマスター」の役割を果たす人は、どれくらい「マスター」としての仕事ができているでしょうか。

・企業サイトの次世代ガイドライン・フレームワークをフリーライセンスで公開
http://web-tan.forum.impressrd.jp/e/2010/08/30/8711

そう。今は企業ウェブのガバナンスを司る「ウェブマスター」としての役割が、本格的に重要になっているのです。

改めてウェブマスター的な仕事とはどんなものかを整理すると、次のようなものになるのではないでしょうか。

企業のWeb戦略を立てる ―― 自社サイトだけでなく、トリプルメディア・トリプルスクリーンを考慮した展開の全体像を、経営戦略に基づいて立てる。

ビジネス目的と目標を設定する ―― 経営指標につながるビジネス目的をサイトやアクションそれぞれについて設定し、その達成状況を管理する。

リソース調整をする ―― 社内各部署からのリクエストに対して、全体戦略と重要度に応じて適切に採用・却下または調整し、有限である各種リソースの配分を適切に決定する。

システム化する ―― 属人的な作業に依存せずに、リソースを無駄なく最大限に活用するための仕組みやルールを作り、運用する。

上記のようなことを、組織としてオーソライズされた形で実行することが重要です。戦略や目標は経営陣も認めたものである必要がありますし、リソース配分を行う人はその決定権限が組織的に認められていなければいけません。ルールは社内規定として罰則を含めて定めて周知しておくべきでしょう。

もちろん、「Web担当者」としての現場の作業がなくなるわけではありませんし、すべての企業でこうした役割が重要だとは限りません。特に経営陣がネットの活用にコミットしきれていない場合は、上記のような提案をする前に、社内に対する啓蒙と教育とモチベートを行う必要があるでしょう。

すでにここで言う「ウェブマスター的な」仕事をしているWeb担当者さんも多いことでしょう。でも、現場で作業をすることに追われている人は、改めて自社にいま必要な役割が「担当者」なのか「マスター」なのかを考えてみてはいかがでしょうか。

※ちなみに、もしかしたらですが、こうした役割は、当初は「社外ウェブマスター」として外部の人にやってもらうほうがうまくいく場合もあるかもしれません。特に、戦略や指標に関しては経営的な視点とネットの知識の両方が必要になりますし、リソース配分に関しては社外の人のほうがキッパリと行える可能性がありますからね。この「社外ウェブマスター」に関しては、コストや責任や立ち位置など考慮すべき点が多いと思いますが、考えがまとまったら今後また整理して書いてみるつもりです。

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安田 英久

株式会社インプレスビジネスメディア Web担当者Forum編集長

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