「40代女子」:絶賛すべき新刊雑誌GLOWのキャッチフレーズ

2010.10.30

営業・マーケティング

「40代女子」:絶賛すべき新刊雑誌GLOWのキャッチフレーズ

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

 10月28日、出版不況といわれる中、女性ファッション雑誌では向かうところ敵なしの「宝島社」から、40代女性向け雑誌が創刊された。『GLOW』。通勤電車の車内吊りや新聞広告を見た人も多いだろう。雑誌のタイトルに添えられているキャッチフレーズは「ツヤっと輝く。40代女子力!」。広告のキャッチコピーは、「アラフォーって呼ばないで。私たちは、40代女子です。」だ。

 世間に向かって「アラフォーのみなさーん!」と呼びかければ、定義されている35歳~44歳、とりわけ中心である28~42歳ぐらいの人は、「ああ、自分のことか」と思うだろう。しかし、「40代女子のみなさーん!」と呼びかけて、「ああ、自分のことか」と思える人がどれくらいいるだろう。その年代にして、自分を「女子である」と言い張れる人は、「ツヤと輝く」べく努力を怠らず、機会があれば宣言してしまいたい人であるはずだ。
 だからといって、完全に該当する人だけをターゲットとしては、ボリュームが小さすぎる。小泉今日子とYOUの他に、記事には鈴木京香・大塚寧々・原田知世・桐島カレン・カヒミカリィなどが名を連ねている。それらに倣って「ツヤを磨こう」という層をコアターゲットとして、そこまでの不断の努力には自信はないが、「ツヤっと輝く、40代女子」に憧れる層をベースターゲットとして設定する。そして、「40代女子」「輝き」のキーワードに反応しない人はバッサリ切り捨てる呼びかけであるのだ。

 「キーワードに反応しない人はバッサリ切り捨てる呼びかけ」。「排他的キャッチコピー」ともいう。
ファッション雑誌を多数発行して破竹の勢いの宝島社とはいえ、業界環境は雑誌の衰退が顕著であり、マクロ環境は不景気が続いている。そんな中で、広くあまねく受入れられる雑誌作りなどできるはずもない。ターゲットを先鋭化しているのである。
 世の中には2種類の人間しかいない。「買ってくれる人か、買ってくれない人か」である。「誰からも愛されたい」と願っても、結局は誰からも愛されないが如く、「一人でも多くの人に振り向いてもらって買ってもらいたい」と思ってターゲットを幅広くしても売れないのだ。

 「ツヤっと輝く、40代女子力!」。いいじゃないか。応援したい。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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