市場環境を分析する際に、何のフレームワークを用いればよいか悩むことがあるだろう。筆者のオススメとしては、まずは自分の得意なフレームワークで一度分析してみることだ。その結果、よくわからなかった所があれば、最も適したフレームワークを判断してもう一度分析をしてみるといい。 昨今、変化が激しい「クリーニング業界」を例に考えてみよう。
もっと大局的に考えるために、「マクロ環境分析」を行ってみよう。フレームワークは「PEST分析」を用いる。Political(政治的な影響要因と規制事項)、Economical(経済環境)、Social(社会情勢)、Technological(技術的成熟度)という4つの影響項目のうち、どのような事項が自社に大きな影響を及ぼす要素となるのか洗い出し、それがプラスに働くのか、マイナスに働くのかを見極めるのである。
Politicalな要素は、現在不確実であるが、予断を許さない。
<業界構造が変わる転換の一年に>(全国ドライクリーニング新聞社・10年01月10日)
http://www.zendora.co.jp/002/post_898.html
<間違いではないが誤解を招く「禁止溶剤」という報道の風評被害を皮切りに、街中のユニットが減り納期や料金も変わる。廃業を選ぶ個人店も出る。当然、メーカーも変化が迫られる>という記述は報道の後に掲載された、以下の記事に代表されるような内容に関するものだ。
<全国3万2000の8割が廃業?クリーニング業界大騒動>
http://diamond.jp/articles/-/2342
要旨としては「クリーニングに用いる溶剤には石油系、塩素系、フッ素系の3種類があるが、クリーニング店・工場のおよそ8割が石油系を使用しているといわれている。しかし、本来石油系溶剤は、都市計画法が定める工業系地域にクリーニング店・工場を造った場合しか使用できないと建築基準法で定められている。長年行政が看過してきたが09年7月に大手向上2社が行政指導を受けた」ということに端を発する。
「5つの力分析」の「買い手の交渉力」に大きな影響を与えたEconomicalな要素は、長引くデフレ不況に代表される景況感だ。景気は一時期要理好転したとはいわれたものの、全く消費者には自覚できないままに、 <9月29日に発表された日銀短観(9月調査)では、日本経済は回復過程の中で景気の増勢が一時的に顕著に低下する踊り場局面に入ったと考えられます。」(野村證券/マーケットアウトルック/日本市場/経済指標より http://tinyurl.com/2vyathf )>などとも伝えられている。急速な円高も加わり、さらに不透明感も増している。可処分所得も減少することから消費者の財布の紐はさらに固く引き締められ、クリーニング代への配分はますます低下するであろうことがわかる。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。