緊急人材育成基金事業の再就職支援講座も終わりに近づき、入社を決めて講座から離れていく受講生も出てくる中で、なかなか就職先を決められない不思議な男の子の話。
自民党政権最後の置き土産である「緊急人材育成基金事業」ですが、そのほとんどがIT関連講座で就職できるはずもなく、一旦は民主党の事業仕訳の対象となりまして、またここにきて「円高放任」のおかげで景気が悪化しているので、基金事業の継続に対する予算が付くようです(臨時国会では予算審議が全く行われていないみたいですが…、ちぐはぐですね)。
さて、この職業訓練プログラムの中で、東京都専修学校各種学校協会という団体が開催している「非IT」「非資格取得」のプログラムである「基礎演習講座」を私自身が担当しているのですが、予定通りというか計画通りというか、正社員を希望する20代受講生の4分の3は内定を得られているところまでたどり着きました。
しかし、ここからが問題でして…
私自身は、就職氷河期まっただ中に就職活動をして、転職をして、自身の会社を始めて4年が経過するのですが、この不景気な時期に「内定を辞退する」それも3回もやってのける20代の方々の考えや気持ちがどうも理解できなかったりするわけです。
講座の中では、良い会社に就職するための情報収集や判断基準、そもそも良い会社とは何かといった話から、「入社すること」ではなく「入社してから早く評価されるための技」まで広く指導しているのですが、若い受講生たちは「良い会社に入社する」という呪縛から逃れられない状況にあるように見えるわけです。
もちろん正社員として、多数の派遣社員、契約社員の方々とも仕事をしてきましたので、雇用形態、会社の規模、会社の将来性等が気になることは事実ですが、そもそもアルバイト経験が数年という状況から正社員として働ける環境が目の前にありつつ、他の会社に目移りする状況って…と首を傾げてしまいます。
納得できる会社選びは本当に大切だと思います。が、この時期、政権の経済政策が頼れず、労働組合も正社員を守るだけで精いっぱいで非正規社員までは対応できない組織率にまで縮小させられ、結果として自分自身しか頼れないという意識が蔓延している状況で、入社するまでの納得感という漠然としたものを追い続けることの意義・意味については、不思議さを通りすぎて、歯ぎしりをする思いでもあります。
特に、駅などに置いてある無料の求人広告などを見ていると、インセンティブで月収50万円以上という表記が踊り、ハローワークの求人情報では25万円以上の求人を探すのが大変な状況で、求人サイトでは1日に何十人が応募しているのだろうか…というサイトばかりが目立ち、既卒で無職の受講生たちは書類応募がままならないといった姿を見ていると、きっと彼らの中には正しい判断基準は形成されていないのではないかという不安を持ちます。
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