仕事ができないのに、偉そうに振舞う上司は多い。そうした上司に対し、部下はどのように対応すればいいいいのだろうか。今回の時事日想は、バカな上司をうまく操る方法を紹介する。 [吉田典史,Business Media 誠]
数年ぶりにかつての上司(50代前半、当時は部長)と“再会”した。それは、シンポジウムでのパネルディスカッションの場だった。そこに取材で出向いたところ、偶然にも彼がパネリストとして参加していた。数百人の聴衆の前で話をするその表情は、いかにもご満悦といったものだった。
振り返ると、この上司は仕事ができない人だった。何よりもスピードが遅い。また俯瞰(ふかん)でとらえて大切なところを見定め、そこに力を入れていくことができない。ほかの上司よりも3~4倍ほどの時間がかかるので、部員の報告書がしばしば止まっていた。
トラブルは得てして、そういうときに起きる。例えば、ある部員が「報告書はどうなりましたか?」と尋ねると、上司は自分が否定されたと受け止めるのだろう。顔色が変わり、感情的に反論をする。それどころか、「君の報告書は誤りが多い」とミスをあげつらう。有名私立大学の付属中学校からエスカレート式に上がってきたお坊ちゃまである。甘やかされてきたから、人から何かを言われることに免疫ができていない。
もし部下が反論をすると、本人がいないとこでみんなに聞こえるように言う。20代後半の女性には「彼女は結婚し、うつ病になった」と。30代前半の女性には「前の部署でもトラブルメーカーだった」と。その多くが、嘘だった。
上司の癖を観察すること
ここで読者に問いたい。こういった人の部下になったときにどうするべきか。インターネットでは「上司なんか関係ない。辞めてしまえ」といった書き込みをよく見かける。それも1つの生き方ではあると思う。
さらに問いたい。転職をした会社にもこのような上司がいたらどうするのか。ここまでひどくはなくとも、あなたを評価しない上司はいるかもしれない。あるいは、考え方の違いでぶつかる上司が現れるかもしれない。そのたびに、会社を辞めるのだろうか。安易な考えで転職を繰り返すと、労働市場において自分の値打ちを下げる――その覚悟はできているだろうか。
わたしはこの上司に仕えた30代のころ、経済団体の「創業塾」に通ったり、資格の学校に通学し、独立を模索していた。そして「会社にぶら下がるな!」とそそのかすコンサルタントや評論家、経営者などの本をよく読んだ。その一方で「そりのあわない上司をいかに動かすか」を考え抜いた。ときには朝方の4時までくらい思い悩み、口惜しくて半泣きで不満をノートに殴り書きしたこともある。
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