ルールでがんじがらめにすることだけが、コンプライアンスの実践ではありません。
「動機」や「正当化」にも着目してみることが大切です。不正を思いつくような「動機」を与えないためには、組織や個人に設定された目標が合理的で適切かどうか、与えている課題が力量や状況に合ったものなのかどうか、仕事の質・量と処遇のバランスがとれているのかどうかといった視点で考え、問題がある(動機が生まれる可能性がある)ならその修正を図るねばなりません。不合理で無理のある目標や、解決・進捗が困難な課題、不当な処遇などは不正に思いが至る可能性をはらんでいるはずです。
また、動機があって不正を思いつき、実行する機会があったとしても、その実行を「正当化」させないためには、組織の存在意義や仕事の目的、経営の方針や経営者の姿勢・言葉が各々の意識にしっかりと浸透しているかどうかという視点が必要です。顧客や社会に対してどのように向き合うべきかという価値観、考え方や行動規範が明確にされ、これが組織全体に支持されていないと、正当化が起こる可能性があるということです。企業が発表している倫理憲章などを読んでいますと、「誠実性」「良心」といった言葉が共通して盛り込まれていますが、そのような価値観を時間をかけて組織に浸透させていくことはコンプライアンス上、非常に重要かつ効果的なアプローチであります。
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コンプライアンス
2011.11.29
2011.10.28
2011.04.25
2010.08.26
NPO法人・老いの工学研究所 理事長
高齢期の心身の健康や幸福感に関する研究者。暮らす環境や生活スタイルに焦点を当て、単なる体の健康だけでなく、暮らし全体、人生全体という広い視野から、ポジティブになれるたくさんのエビデンスとともに、高齢者にエールを送る講演を行っています。