お好み焼きをメインディッシュに、フルコースのディナーを仕立てる。日本で初めて「お好み焼きディナーコース」をメニュー化した千房は、その人材募集についても日本初、驚くべきやり方に挑戦していた。
■究極の日本食・お好み焼き
「なにしろメインディッシュなんやから、お好み焼きの味には徹底的にこだわりました。研究し尽くした結果できたのが、和牛で上等の肉を使ったステーキよりおいしいお好み焼きです」
まさに元コックだった中井社長の面目躍如、ぷれじでんと千房のお好み焼きは、極めて高い完成度を誇る。正真正銘、肉料理にも、魚料理にも優るメインディッシュにふさわしい一品に仕上がった。では、お好み焼きとは、そもそもどんな食べ物なのだろうか。
「よく言われるのが、お好み焼きは和食か、洋食かという話。洋食だったら青のり、鰹節はかけません。和食ならソース、マヨネーズは使わないでしょう。一方で最近では辛子とかキムチなどの食材も取り入れていますね」
流行り言葉でいえば『無国籍料理』となるのだろうが、中井社長の捉え方は違う。お好み焼きの本質を千房流に突き詰めた極意を表す言葉がある。『究極の日本食』である。
「和洋折衷、良いものは何でも取り入れた上で、それをすべて自分なりに消化して新しいスタイルを創り出す。この融通無碍なスタイルこそが、日本文化の一番いいところやと思っています。だから究極の日本食なんです、お好み焼きは」
どんな食材を取り込んでも、おいしく仕上げてしまう。あらゆる調味料を受け入れながら、最後はお好み風の味にこなしてしまう。お好み焼きは、ありとあらゆる素材をほっくりと包み込み、火の力を活かして引き出した素材のうまみを、その生地の中にぎゅっと閉じ込める料理である。
「だからお好み焼きは、メインディッシュになる素質があると見込んだんです。ぜひ一度、食べてみてください。ほんとにおいしいですよ、うちのお好み焼きは」
お好み焼きをベースにした挑戦で中井社長は、世界一大きなお好み焼き作りにもチャレンジしてきた。大阪の同業者数社と共同で、あるテレビ局の依頼を受けて作ったのが、直径8メートルの巨大お好み焼きだ。これをキッカケに中井社長の音頭取りによって同業者組合が結成された。
「同業者を商売敵と見る人もいます。でも私は、同業者を仲間やと思います。せっかくの素晴らしい日本食・お好み焼きなんやから、みんなで盛り立てて行ったらええやないですか」
ただし、中井社長自身が同業者の店に食べに行くことは、まずないという。自社ビジネスを展開する上では、同業者にはまったく関心がないのだ。なぜなら同業者から学んでいては、同じ土俵で勝負することになるから。異業種から学んでこそ、斬新な発想が得られる。そう考える千房は、これまで、一体どのようなプロセスをたどって成長してきたのだろうか。
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FMO第36弾【千房株式会社】
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2010.08.03
2010.07.27
2010.07.20