ユーザーと作り手の境界がなくなり、「プロシューマー」の時代と叫ばれて久しいが、昨今のソーシャル系メディア、Web技術によって、ようやく本質的な「プロシューマー」が活躍できるサービスが登場してきた。
自分の好きなデザインのTシャツを作成し購入するのは、よくあるサービスだし、自分が作成したTシャツを売ることも、既存のEコマースのサービスを使えば問題なくできるだろう。しかし、このZazzleの独自性はそれらを同時に一箇所で行うことができることにある。そしてそのシステムを支えるのがIT技術だ。
たとえば、Tシャツにイラストをプリントして売る場合、Tシャツとイラストを別々に表示して、購入ボタンをクリックしてもらうというのがこれまでのパターンだろう。そうした場合は、自分で描いたイラストをTシャツにプリントした状態で正確にイメージすることは難しい。
Zazzleのこだわりは、実際にTシャツにプリントされたイメージを正確に見せることだ。独自の画像処理技術を駆使することで、ユーザーは自分のイラストがTシャツになった状態をWebサイトで確認することができる。その結果、驚異的な返品率の低さを実現しているという。
そして、Tシャツやグッズのオリジナル商品の販売を通じて、アーティスト支援活動も忘れていない。単なるオリジナル商品としての流通だけではなく、イラストや写真をアートとしてリスペクトする姿勢も忘れていない。実際Zazzleのジェイソン カンも「日本の数多くのアーティストは世界中に名高く、歴史にも多く残されています」と日本市場での期待を語る。
こうしたTシャツやカップといった一般的な商品だけではなく、企業にはプロ化したコンシューマーはたくさんいる。経理担当は経理のプロだし、人材開発部門の講師も立派なプロ講師だろう。
B2B市場で、仮にプロシューマーモデルが確立されれば、これまでコストセンターとしての位置づけでしかなかった部門やスタッフがたちまちベネフィットセンターとなる。
経営サイドからすればこんなに効率的なシステムはない。自社消費でしかなかったサービスが「利益」に変わるのだから。
そうなると、プロはプロらしさを一層求められることになる。プロは、よりプロらしく差別化できるようになるわけで、むしろプロとしての価値は高まるだろう。
さまざまな市場でプロシューマー化が進めば、停滞する市場活性化の大きなきっかけとなるに違いない。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2015.07.10
2015.07.24