今日は、日経BPネットで堂々と有料リンクが掲載されている件について。検索エンジンのルールをメディア最大手の1社が破っていることは、逆に言うと、現状の検索エンジンがまだまだ不完全であることを意味するのではないしょうか。
ただし、「有料リンク禁止」というのは、検索エンジンが決めたルールであり、企業が守る必要のある法律ではありません。検索エンジンに協力する意志がなく、検索エンジンからの訪問者の流入が必要ないのであれば、そのルールに従わないからといって責められるべきものではありません。
さて、日経BPネットに話を戻すと、当該リンクは、
・nofollowなしの直リンクである(他のテキストリンクは広告システムを利用)
・日本では一般的に広告であることを示す「PR」表記がある
・HTML上でそのブロックのクラス名が「ad_seo_keywords」となっている
ことから、SEO目的の有料リンクであると判断できます。
では、日経BPネットは、検索エンジンが禁止していることを知らずに有料リンクを販売しているのでしょうか?
おそらくそうではないでしょう。日経BPネットのコンテンツページ、つまり、検索エンジンからの誘導が重要になる部分には有料リンクは設置されていません。検索エンジンに有料リンクだと判断されてペナルティを受けても、大きなダメージを受ける部分は除外しているのではないでしょうか。
そもそも、なぜ有料リンクを買う人が後を絶たず、さらには日本有数のメディアである日経BP社が有料リンクを販売するようになったのでしょうか? その理由としては、現状では検索エンジン側のSEOスパム対策が不十分であることが大きいでしょう。
実際に、グーグルは有料リンクに対してNGだと言い続けているものの、未だ日経BPネットがペナルティを受けた様子はありません。ヤフーも有料リンクはNGだとしていますが、グーグルほど強硬な態度はとっておらず、スパム報告も自分の管理しているサイトに対して張られているスパムリンクを指定できる程度しかしていません。
また、日経BPネットの有料リンクを購入しているサイトが得ている被リンクを調べると、中国語サイトに日本語のワードサラダでページを作り、文中からキーワードリンクを張っているようなページに代表される、SEOのためだけに作られたページからのリンクがごろごろと出てきます。
そう考えると、日経BPネットの「ad_seo_keywords」というクラス名は、「どうせ検索エンジンは有料リンクなんて見分けられないんだろう」という意味の、検索エンジンに対する挑戦のように見えてきます。
各検索エンジンがこうしたSEOスパムリンクを排除する仕組みをさらに強化しない限り、有料リンクはなくならず、SEO用途のリンクのためだけに作られた内容のないページが大量に作られていくことでしょう。
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2008.09.26
2010.04.20
安田 英久
株式会社インプレスビジネスメディア Web担当者Forum編集長
企業のウェブサイト活用やウェブマーケティングに関するメディア「Web担当者Forum」(http://web-tan.forum.impressrd.jp/)を運営しています。