世界初の携帯用DL型フルブラウザは、なぜ福井で開発されたのか１

「そもそも高専を選んだのは、中学校の先生に薦められたからです。でもオープンキャンパスでの印象はあまりたいしたことなかったんですね。ただパソコンはいっぱいあるし、週休二日で5年間は受験のことも考えなくいいからといわれて、じゃ高専にしようと（笑）」

小三で計算プログラムを組んで以来、暇があれば新しいプログラムを作っていた福野氏の適性を担任の先生は見抜いていたのだ。

「パソコン専門誌の投稿欄に、いろんなゲームのソースコードが載っているんです。それをせっせと書き写していました。プログラムの写経ですね、これが意外に役に立ちました」

やがてただ写すだけでは物足りなくなる。プログラムの一部を書き換えると、動きはどう変わるのか。そんなことを繰り返しているうちに、自然に次のステップへと進んでいった。

「中学校に入った頃には、自分でゲームを作って遊んでいました。先生もそんな姿を見ていたから、高専を薦めてくれたんだと思います」

そして入った高専はとても肌に合っていた。高校よりも大学に近い雰囲気、良い意味での放任主義でもある。まわりの友だちも同じようにできる奴ばかり。そこで福野氏は転機を迎える。

「みんなはプレステとかに夢中なんですよ。でも、僕は何か違うな、やりたいのはゲームじゃないなって思い始めていて、ちょうどそんな時だったんです、画像処理ソフトを作ったのは。これだと思いましたね。僕はこういう仕事をしたいんだと」

幼少時から培われてきた才能は、すでに飛び抜けたレベルに達していたのだろう。才能に気づいたバイト先の社長氏は、すぐに次の仕事を与える。

「ブラウザ上で何か面白いことができないかという話になって、地図ソフトを作りました。これは相当優れもののソフトですよ。部分的には今のGoogleマップよりよっぽどすごい（笑）」

その地図ソフトを携えて、社長と共に幕張メッセでのイベントに乗り込み、見事に受注に成功する。時に福野氏はまだ高専４年生、19歳の時の出来事だ。

⇒次回「技術なら負けない」へ続く（全四回）

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◇インタビュー：竹林篤実/坂口健治　◇構成：竹林篤実
◇フォトグラファー：大鶴剛志　◇撮影協力：ピクスタ㈱　

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