百貨店やスーパーなど、既存流通チャネルがかつてないほどの苦境を味わう中、衰えを知らない化粧品通販。市場規模は2,500億を突破し、とどまるところを知らない。
今話題の「フリーミアム」のスタイルもこの業界お得意の手法だし、古くから行われている伝統的な見込み顧客開発手法だ。この「フリーミアム」のモデルも経験を重ねることで、他業界よりも一歩も二歩も先を行く。
「お試し商品」といっても、現在はほとんど無料のところはない。無料だと、いわゆる「無料商品コレクター」のみの顧客データとなってしまうことが多く、見込み顧客「数十万人」を獲得しても、未来永劫見込みのままという状態になりかねない。
よって1,000円から2,000円の「見込み商材」を用意し、折り込み広告やネット広告で集中的に訴求する。また、新規顧客のみしか購入することはできないシステムを構築し、オンライン広告を駆使し、純粋の見込み顧客開拓を狙う。
さらに今ではすっかりEコマースの新規開拓の定番となったアフィリエイトだが、この手法も化粧品通販での導入は早い。
不思議な現象のひとつに、これだけのネットへの投下、IT投資にもかかわらず、通販全体と比較しても、ネット通販の割合は高くない。多くの通販企業が、インターネット通販のウェートが50%を超える中、化粧品通販業界でのインターネット(モバイルを含む)の販売比率は27.2%にすぎない。
この事実は、それだけカタログ販売での顧客との関係構築基盤が磐石であることを示していると思う。これまでのノウハウを生かしながら、新しいマーケティングアプローチに取り組み、新規顧客、新規市場を取り込むという理想的なマーケティングアプローチの証ではないだろうか。
こうした取り組みは、数々のヒット商品を生む。オールインワンタイプの商品やミネラル系商品、あるいはメンズ商品に至るまで、毎年のようにヒット商品が登場する。
大メーカーのような大ヒットはないものの、確実に収益を伸ばしている。百貨店などを中心に「マス広告」のみに頼ってきた他メーカーとは明らかな違いだ。
これからも化粧品通販業界のマーケティングに注目したい。
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