おひとり様商品・サービスが好調らしい。様々な流通・サービス業・メーカーがおひとり様顧客獲得に向けて躍起だ。ただしその大半は女性向け、男たちは市場の対象としても見られていないのか。
本当に「男性向けおひとり様マーケット」はないのだろうか。確かにこの経済環境の中、大きな重責を担いながら対応しなければならない企業の経営陣やオーナーに余裕は少ないかもしれないが、彼らが持つ影響力や経済的なインパクトは計り知れないし、何より本物を知る層との関係構築は、企業にとって永遠の課題であるはずだ。
かつて雑誌『LEON』が中高年向のおしゃれな男性を演出する雑誌として一世を風靡したことがあった。堂々と「年収1600万以上がターゲット」と宣言し、一般男性のひとつのモデルとなった。しかし現在は、雑誌自体は存在しているものの、もはやかつてのような露出はなく、その後同様のコンセプトのもと、元岸田編集長が立ち上げた『ZINO』は、2008年に早くも休刊に追い込まれている。
近頃私の周辺で、50歳以上の人たちから「駅周辺の飲食店が大手チェーン店ばかりになってつまらない」「ゴルフ場で低価格のサービスばかりが増えて楽しむことができない」「昔からよく行っていた洋服やがどんどんなくなる」「書店に並ぶ本の趣味が合わなくなってきた」「はやりのショッピングモールに行っても何も買うものがない」などといった声をよく聞く。
バブル期を20~30歳代の遊び盛り働き盛りの時期に経験し、景気低迷期には必死で経営の立ち直りに奮闘し、確実に成果・実績をたたき出してきた中高年はタフでたくましい。実際、ゴルフもスキーもテニスも押並べてうまい。体力、知力、センス、そして財力を兼ね備えている。
しかしなぜか表立ってこうした世代に対し本物感のある商品を提供しようとする企業はまだまだ少ない。
スーツの青山商事がジーンズのリーバイ・ストラウスジャパンと提携し販売を始める。青山商事の子会社「あおやま」がFC契約を結び開店するというものだ。
青山商事といえば格安スーツで話題となった小売店だが、こうした伝統的なブランドを扱うことの意義は大きい。リーバイ・ストラウスジャパン側は、現在の激安路線は本物志向への揺り戻し現象は起こるはずだと語る。
また、中高年といえば「酒」だが、久しぶりに「ハイボール」がヒットし、ウィスキー売り上げが伸びたサントリーにしても、「本来の高級路線への回帰を果たしたい」と、現状に満足する様子はない。
安さと手軽さとかわいさのサービスも悪くはないが、本物の味を知るシングル中高年の市場にとって魅力ある商品・サービスが十分あるとは思えない。大げさかもしれないが、日本市場の活性化はこの世代にかかっていると思うのだが。
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