不況が深まり、景気の二番底割れも懸念されている昨今。そんな中、バレンタインでも、高価なブランドチョコ消費よりも、安価巣な手作りチョコ優先という流れが押し寄せている。今年のバレンタイン、キーワードは“おウチLOVE”である。 [郷好文,Business Media 誠]
さらに瞠目(どうもく)したのは英国・北アイルランド自治政府で起こったミセス・ロビンソン事件(参照リンク)である。ロビンソン首相夫人が、39歳年下のイケメン男性と不倫するというスキャンダル。首相夫人という公職、年齢差、相手のイケメンぶり、数万ポンドのカフェ開業資金援助。婦女子たちは「60歳でも通用する」という事実に元気付けられ、婚活男子たちは富女子ないし扶助子の存在に沸き立った。私は熟女の美しさが気になった。
詐欺と搾取、莫大な慰謝料、富裕層の不倫。一連の愛の事件は、お金の動きがピタリと止まった市場でも、実は「お金はある。それも愛が介在することで“富の偏在をならす”ように動く」ことを証明した。景気回復への道は“友愛”より“偏愛”なのであろうか。
恋愛主義と経済の活性化の関係
愛と富。どちらからも縁遠い私には、その方程式を喝破することは難しい。ただ、世に言われる“恋愛資本主義”(恋愛対象者のスペックをあれこれ値踏みする思考や態度)にも、“恋愛市場主義”(対象者ゲットに競争市場原理が働くものとして、競争に勝つために恋活や婚活に打ち込む恋愛消費者とそのビジネス)にも、うなずくことはできない。
恋愛資本主義では相手を値踏みするばかりで、「自分から与える」視点が欠けている。「愛は授かりもの」と考えているだけでは幸せにはなれない。「相手に何を与えられるか」と思考を転換できた時、双方の心が同時に開くものだ。
恋愛市場主義は“勝つこと”がゴールゆえに、「結ばれる前と結ばれた後のプロセスにこそ愛が宿る」という視点に欠ける。だから消耗的な、燃え尽き型恋愛をたどりがちだ。恋がいつも長続きしない人は、この市場原理主義に染まっている可能性がある。
お金が動かない不況下、“恋愛支援主義”が経済にはプラスになりそうだ。愛のパワーが社会倫理を突き破り、富をならす方向に働く。こんな刺激策は日銀でまともに議論されるとは思わないが(笑)。
高架下の……愛?
これは実話ではあるが、妄想でもある。昨年暮れ、仕事場近くのJRの高架下に新しく“おウチ”ができた。四角く囲んだ段ボールでできている。上手に作られてはいるが、この寒さの中、さぞキツいだろう。新参者はどこからきたのか、リストラだろうか、一家離散したのだろうか……。
年明けのある夜、私はその高架をくぐり帰宅の途についた。すると、段ボールのおウチのそばに若い女性が1人立っていた。ベージュのロングコートに黒いロングブーツ。ロングヘアの美しいシルエットの人。横目に見ていると、彼女は細身の手袋をはめた手で、段ボールの“入口”とおぼしきフタを開けて、のぞきこんだのだ。
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