「ふっかけた方が得」のアンカリング効果

2010.01.15

営業・マーケティング

「ふっかけた方が得」のアンカリング効果

松尾 順
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

近年注目を集めている 「行動経済学」 は、人間が必ずしも‘合理的’に判断したり、 行動したりできるわけではないことを 実験等を通じて検証してきました。

アンカリング効果は、
これほどまでに人の判断を左右する力を
持っているわけです。

そして、商売人たちは、
行動経済学で検証されるずっと以前から、
アンカリング効果の存在を経験を通じて
わかっており、

プライシング(価格設定)や価格交渉

において活用してきています。

端的に言えば、
アンカリング効果を考慮するなら、
売り手側が価格交渉を有利に進めたければ、

「ふっかけた方が得」

ということなのです。

外国の個人商店では、
しばしば値札がなく商店主との
価格交渉で購入金額を決めますよね。

この時、よほど善良な人でないかぎり、
商店主が最初に提示する売値は、
あきらかに「ふっかけ」の高過ぎる値段です。

なぜなら、その数字が基準となって、
利益幅の大きい高値で取引が決着する
可能性が高くなるからです。

ですから、買い手の立場からは、
よほど注意して商談しないとバカをみる
かもしれないということでもあります。

今、個人商店を例に挙げましたが、
国際間の企業対企業の大型の商談でも、
同様のふっかけがしばしばみられます。

日本人はある意味正直すぎるため、
不利な価格で契約に至るケースが多い
ようですね。

信頼関係が既にできている相手は
別として、価格交渉では、
最初に提示された数字は、
相当疑ってかかるべきでしょう。

このアンカリング効果、
ほかにも様々な場面で応用されています。

明日も引き続き、アンカリング効果を
活用している具体ケースご紹介します。

(参考文献)

『プライスレス 必ず得する行動経済学の法則』
(ウィリアム・バウンドストーン著、松浦俊輔、小野木明恵訳、青土社)
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『経済は感情で動く』
(マッテオ・モッテルリーニ著、泉典子訳、紀伊國屋書店)
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『予想どおりに不合理』
(ダン・アリエリー著、熊谷淳子訳、早川書房)
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松尾 順

有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。

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