戸建て住宅市場が、これからの成長をかけて大きく変わろうとしている。環境戦略にフォーカスする大手に対し、ビルダーとしての地位を狙う工務店ネットワーク。住宅業界はどこへ進むのか。
そうした中、徹底的に流通、施工、素材の無駄を排除し、クオリティを保ちながらローコスト住宅を提供する、一種のユニクロモデルとして好調に戸数を伸ばしているのが、アキュラホームだ。超長期住宅が1260万円という圧倒的な価格訴求が目立っているが、これまでの低価格住宅とは一線を画したハウスビルダーネットワークだ。全国の工務店をネットワークで結び、これまでにない新しいブランドと価値を提供している。これまでも、坪30万円を切ると謳う格安住宅は数多く存在した。
今でもフランチャイズを展開するかつての格安メーカーは多いが、このアキュラホームは、これまでのフランチャイジーとは全く異なるビジネスを展開している。ひとつはネットワークであってもフランチャイズではないということ、工務店は、施工のノウハウをアキュラホームから購入し、その看板を背負って独自にビジネスを展開する。
大手の持つブランド力、大量仕入れによる原価管理、優秀な人材、資金力などに、地域工務店が負けないためには、小さな工夫を積み重ね、地方工務店の元々持つ良さを引き出し、本来の施主とビルダーの関係を復活させようとしている。
地場産業として、その地の気候や土壌に合い、施主とビルダーの深い人間関係によってメンテナンスされていく、こうしたプロセスを地元工務店とともに地域に根付かせる。かつて古くから日本に存在していたビジネスモデルそのものだ。
大手の中にも、日本の気候にあった日本の木材を使い、地産地消を唱えるメーカーはある。同時に資金力を活かし、環境問題やエネルギー問題にまで踏み込み、明日の住宅を作ろうとする戦略的な狙いも持っている。しかし大手ゆえの高価格体質、全国の画一性、人員の退職や転勤など、抱える問題は少なくない。
まもなく住宅版エコポイント制度が始まる。次世代省エネ基準やトップランナー基準をクリアする必要があるが、一戸あたり約30万円のポイントが付与される制度だ。車や家電商品がある程度の実績を残したように、この制度に期待する声は多い。しかし時代は2010年になる。1970年代ではない。制度や法律で規制するだけでは、マーケットが躍動することはない。もはやクローズドで作り手主導のマーケティングが通用する時代ではない。あらゆる情報が開示され、消費者が自由に選択できるマーケットが作られた上で、買い手主導で商品が選ばれなければならない。2010年、住宅業界が受ける荒波はすぐそこまで来ている。
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