日本のビジネス・パーソン1,500人に、「現在どのようなマーケティング上の課題を持っているか」を調査した。予想通り、部門ごとで認識する課題には大きなギャップが存在した。
部門で異なる課題
経営陣や経営企画は、顧客ニーズ理解と戦略の実行力を現場に求める。営業や開発、生産といった現場は、顧客ニーズに対する「商品開発力」を強く求めるが、経営陣や経営企画は自ら策定した戦略の実行力を求める。
また、経営企画、広報・宣伝などのスタッフ部分は、そうした商品開発力よりも、ブランディン力の強化を求める。さらに広報やマーケティングはこれからのマーケティング手法として、コミュニティに活路を見出そうとする。
広報・宣伝とマーケティングも課題は同じではない。広報部門はブランディング開発に課題を強く感じているが、マーケティング部門は、商品開発力に大きな課題を感じている。
このように、大きく分けても、経営陣・経営企画、営業、広報・宣伝・マーケティング、開発・生産が抱える優先的な課題には違いがある。インターネット・マーケティングの重要性をいくら宣伝・広報が叫んでも、その重要性は他部門には理解されないという図式だ。
あるいは、現場が「もっと商品開発を!」と叫んでも、スタッフ部門は「ブランディング」に力を注ぎ、「もっと実行しろ!」と叱咤する。経営陣は「ブランドよりもニーズ理解だ!」と指示し、現場は「そうだ!」と同調する、といった図式だろうか?
注意すべきは、経営陣と各部門の認識の差だろう。どちらかといえば経営陣は自社商品に愛着を持つ人が多い。ゆえに「商品開発」に課題を持つ経営陣は少ないのだが、「売り」の現場との「商品開発」に関する温度差は、現実との認識のずれを起こし、現場のモチベーションダウンにつながり、確実に「戦略の実行力」に影響する。
こうしたギャップは今に始まったことではないが、課題の共有なくして、戦略のフォーカスなどできるはずもない。特に経営企画やマーケティングなどの戦略立案部門は、今一度、部門ごとの抱える課題について振り返る必要がありそうだ。
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