日本で消費される缶コーヒーは年間100億本。 金額ベースでは8,000億円に達します。 清涼飲料メーカーの間では。 “缶コーヒー市場を制するものが、清涼飲料市場を制する” と言われるほど重要なカテゴリーです。
もちろん、日本でも、
ガテン系の労働者の缶コーヒーの消費量は
多いのは確かです。
しかし、たとえ工場などで働いていたとしても、
多くの日本人は、ブルーカラーとかホワイトカラーと
いった区別はほとんどしませんし、むしろ皆、
企業に勤める「サラリーマン」という意識が強い。
アメリカ的ブルーカラーに向けたマッチョな広告では、
日本のサラリーマンの共感をあまり得られなかった
のも当然かもしれません。
そこで、魚谷氏とジョージアチームは、
新しい広告施策のコンセプト作りに着手します。
1994年は、バブル崩壊後で企業のリストラも
本格化し始めた頃。サラリーマンは厳しい
現実に直面していました。
このような状況では、
「頑張れ、サラリーマン」
と鼓舞するのは空虚であり、むしろ、
「ちょっと一息ついて休みましょう」
というメッセージを発信するのが、
時代の空気に合っていると考えられました。
実際、缶コーヒーの利用実態調査でも、
「リラックスするために飲む」
という項目が、
缶コーヒーを飲用する目的の
第1位になっていました。
ただし、当初は、男性向けの商品ということで、
男性目線で展開するクリエイティブを予定して
いたところ、予期せぬトラブルによって練り直しを
余儀なくされた中から出てきたのが、
「女性が、男性に優しく“お疲れさま”と語りかける」
という切り口だったのです。
この語りかける女性役として、
20代、30代、40代のそれぞれの年代に
受ける女性タレントが3人選ばれましたが、
20代向けとして選ばれたのが、
当時はまだそれほど知名度のなかった
飯島直子さん
だったというわけです。
2004年、
「ジョージア 男のやすらぎキャンペーン」
と題して始まったキャンペーンは
大きな反響を呼び、特に飯島直子さんの
ポスターはすぐに剥がされてなくなってしまう
ほどの人気を集めます。
そして、翌年から始まった、
缶に張られたシールを集めて応募すれば、
パーカーなどがもらえるプレゼントキャンペーン
には、
初年度3,400万通
翌年は4,400万通
という驚異的な応募数を記録したのです。
前回書きましたが、
ちょうどこの最盛期のジョージアキャンペーン
の某プロジェクトに関わっていたので、
当事者に近い立場で、現場の熱気を感じることが
できたのはとてもいい経験だったなと思います。
さて、このキャンペーンの成功のおかげで、
ジョージアのシェアは3年後に53%と、
10%の伸長を果たします。
非助成想起率でも、BOSSを抜いて
1位に返り咲くことができたのです。
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コカコーラのブランドマーケティング
2009.12.11
2009.12.11
2009.11.17
2009.11.16
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。