ダイレクトマーケティングの「リレーション理論」

2009.10.30

営業・マーケティング

ダイレクトマーケティングの「リレーション理論」

松尾 順
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

先日の記事で、東海大学教授、 小泉眞人氏が提唱されている 「広告リレーション理論」 をご紹介しました。

当理論の核となる考え方、
それは、「広告」には

・プロモーション
・コミュニケーション
・リレーション

の3つの役割があるということでした。

実は、広告に上記のような

「3つの役割」

があるというのは、
マーケティングの本質(顧客の創造)が
わかっている人には、ある意味

「自明の理」

です。

しかし、なぜ改めて

「リレーション理論」

として明快に規定する意義があるのかというと、
近年は、広告の役割が短期的に売上げにつなげるための

「プロモーション」(=販売促進)

に偏りすぎているからだと言えます。

同様のことは、

「ダイレクトマーケティング」

についても言えるのではないでしょうか?

ダイレクトマーケティングとは、
文字通り、マスメディアを介在させず、
顧客・見込み客にダイレクトにアプローチ
する方法です。

具体的には、

・ダイレクトメール(郵便や宅配利用)
・ダイレクトeメール(PC、携帯)
・テレマーケティング
・Webサイト(主にログイン後のカスタマイズページ)

などがコミュニケーションツール
として用いられます。

さて、基本的には

「ブランディング」

を重視してきた「広告」と違って、
「ダイレクトマーケティング」は、

販売につなげること

が主目的であり、

「販売促進施策」

のひとつとして
位置づけられてきています。

ダイレクトマーケティングは、
マスメディアを用いるよりも高コストでもあり、

短期的な「刈り取り」(=販売)

を重視するのは当然のことではあります。

しかし、現実には、
ダイレクトマーケティングでも、

「ボールの壁投げ」

にたとえられるような、
一方的な情報提供のみに終始した場合、
短期的にはともかく長期的な視点では、
売上拡大・維持はできません。

簡単な話、毎回届くメールの内容が

「こんな商品でました」
「この商品買ってください」

ばかりだったら、
受け取る側としてはいやになりますよね。

初回購入時はともかく、

自社の売上のことしか考えていない

ことがバレバレのメールが続いたら、
郵便にしろeメールにしろ、

ゴミ箱

直行です。

一方、ダイレクトマーケティングを
活用して長期的な成功を収めている企業は、
ダイレクトマーケティングの役割を

「プロモーション」(認知・説得)

だけに限定せず、

「コミュニケーション」(理解・共感獲得)
「リレーション」(相互の信頼形成)

の役割も重視しつつ、
ダイレクトマーケティングを
展開しているのです。

今回は、3つの役割をうまく組み込むことで
成功しているダイレクトマーケティング
具体事例をひとつだけご紹介しましょう。

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松尾 順

松尾 順

有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。

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