とってもビミョーな「コカ・コーラ プラス」を展開する理由?

2009.10.28

営業・マーケティング

とってもビミョーな「コカ・コーラ プラス」を展開する理由?

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

食物繊維入りのコーラの発売である。「コカ・コーラ プラス ファイバー」。

「コカ・コーラ プラス」は<「健康的でスタイリッシュに毎日を過ごすための、ちょっとした“plus”をくれるブランド」>だという。(日本コカ・コーラWebサイトより)
 製品第1弾として今年1月に発売されたのが、レモンフレーバーで「ビタミンC配合」の「コカ・コーラ プラスビタミン」。前年に発売された「ノーカロリー コカ・コーラ プラスビタミン」を原型としたものである。
 それを「コカ・コーラ プラス」という独立したブランドとして立ち上げたのは、<消費者から特に支持の高かった“栄養素をプラスする”という発想を一歩進め>(同)る狙いがあるという。そして<“美容”や“健康”に敏感な20~30代の女性>というターゲッティングをし、<健康的でスタイリッシュに毎日を過ごすための、ちょっとした“plus”をくれる>というポジショニングを設定している。

 今年1月の「コカ・コーラ プラス」のブランド立ち上げに対して、「コーラなのに健康に良い?」と当時ネット上で突っ込みの書き込みも散見されたが、続く第2弾として6月はに緑茶フレーバーで「カテキン配合」「コカ・コーラ プラス カテキン」の発売を敢行。そして、第3弾として10月26日に「食物繊維配合」の「コカ・コーラ プラス ファイバー」が発売され、27日にはコンビニなどの店頭に一斉に並んた。

 今回「プラス」するテーマとして「食物繊維」がなぜ、選ばれたのかという理由は正式発表されていないのだが薄々想像ができる。
 流通関係者からPOS情報の話を聞いた。「プラス カテキン」は、実際には男性の購入者の方が多かったというのである。
 花王の「ヘルシア緑茶」で「カテキンが何とかしてくれる!(このオナカを)」という暗黙の認識が主に男性の間で広まった。しかし、「苦いヘルシア緑茶を飲む”修行”は無理」。「ヘルシアスパークリングは350mlで189円と値段も高い!」という意見が多いのも事実だ。
そんな背景から「プラス カテキン」は「ゼロカロリーでカテキンってことは、このコーラでも(このオナカを)何とかなるに違いないっ!」という、ビミョーでハンパな男性層(筆者を含む)を引き寄せてしまったに違いない。
 そんな(ハンパな)男性層を振り払うべく、「まさか食物繊維はオトコどもは関心を示すまい」とふんで、今回の「プラス」のテーマは選ばれたように思うのである。

 しかし、そもそも、コカ・コーラがこのブランドでやりたいことって、一体何だろうと考えてみる。
 まずは、現物を知らねばと(筆者はターゲットではないながら)飲んでみた。特定のフレーバーが添加されているという情報はなかったし、確かに食物繊維に味はないだろう。しかし、通常のコカ・コーラゼロとも異なる味わい。ビタミンやカテキンとも共通する、オイシイ!とも、マズイ!とも断定できないビミョーな味が踏襲されていると感じだ。今回は添加されているファイバーの影響なのか、何やら歯の上に薄い膜が張る感じがするのは気のせいだろうか。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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