原宿ファストファッション戦争はどこへ行く?

2009.10.17

営業・マーケティング

原宿ファストファッション戦争はどこへ行く?

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

 日経新聞10月16日の16面に2つの記事が並んでいる。「百貨店6社が最終赤字」「百貨店アパレル4社2社減益、2社赤字」。百貨店の苦境は繰り返し報道されているが、その百貨店を主要な販路とする大手アパレル4社もレナウンとサンエー・インターナショナルは赤字。残る2社のオンワードと東京スタイルも9割減益という惨憺たる決算である。

■フォエバー21

 では、どのブランドが青学生から支持されているかといえば、女子学生を中心にフォエバー21の名がまず挙がる。「全身コーディネートして1万円」という価格の安さが人気の秘密である。但し、実際にその商品を見ると確かに価格なりの品質であり、40代も半ばを迎える筆者は袖を通す気にはなれなかった。「オッサン向けに商売しているわけじゃねーんだよ」と言われれば、まさにその通りでゴメンナサイである。店内には若い子ばっかであるため、品質よりも価格が重視されているのは確かで、ニーズにはピッタリマッチしているのだろう。

■H&M

 フォエバー21に隣接したH&Mの店内に入ると年齢層がぐっと上昇する。20代男女や小さな子供を連れた家族、筆者と同年代の人もちらほらいる。価格帯は少々上昇するが、それでもまだ、全身コーディネートして2万円程度ではないだろうか。品質はフォエバー21よりは少し良いように思う。1店1万円を超える商品はめったになく、もしかすると「安いから、まぁいいっか!」と筆者も1枚ぐらいは買ってしまいそうになる。

■トップショップ

 H&Mにほど近いラフォーレ原宿にはトップショップが入っている。男性用はトップマンという名前だ。価格はぐっと上昇し、ジャケットやコートのような重衣料は2万円を超える。トップショップは2006年9月に日本に進出してきた老舗といえる存在だが、ファストファッションの中では相対的に高価格帯に位置するようになってしまった。その分、品質はあくまでファストファッションの中でという限定条件付きながら、他よりも高い。ファッション性も筆者個人の趣味の中では一番良いように思った。危うく赤いフード付きにコート24,000円をお買い上げするところであった。

■ファストファッション3社の棲み分け

 各店の様子は上記の通りであるが、各店はまさに棲み分けの状態であるといえる。横軸に製品・サービスの「価格」、縦軸に「価値」の二軸を取る「バリューライン」で表現してみる。ファストファッション業界が前提なので、「価値」は「ファッション性」は高いことは大前提なので、あえて「品質」とする。安くてそれなりの価値のもの=「エコノミー戦略」。これはフォエバー21だ。中間価格で、中間的な価値のもの=「中価値戦略」これがH&M。高くて価値の高いもの=「プレミアム戦略」これがトップショップである。つまり、各店はバリューライン上で棲み分けをしているのである。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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