書店へ行くと平積みで「クレーム対応本」が販売されている。 しかし、いわゆる「クレーム」や「クレーマー」という定義は未だ世間で曖昧なようだ。 少し整理してみようと思う。
また、complaintとして、「不平,不満,泣きごと,愚痴」ぐらい言ってもいいではないか。社会的な通例から逸脱していないのであれば。また、多少なりとも問題があったなら。
claimもcomplaintも、「忌むべきもの」とされてしまえば、企業・行政と生活者の溝は埋まらず、サービスレベルも向上することはない。
一番恐れているのは、「クレーム対応本」の流行において、本来問題となる「悪質なクレーマー」ではなく、本当に不本意な対応にあっている無辜の生活者までが十把一絡げにされてしまうことだ。
何冊も話題の本を読んだが、本来必要な「顧客対応接点」の担当者に、本当に必要なノウハウを教えるものではなく、抑えたトーンながら「こんな困ったヤツがいて、こうして切り抜けた」という「読み物」として一般に供されていることも少なくない。
極端な例が一般化されている。
筆者自身も、コンタクトセンター時代や、広告会社でのキャンペーンを担当していた時代に、様々な苦情に対応した。
しかし、そこに一般に公開するような「読み物」としての面白さは感じない。
確かにインターネットの普及によって、行政・企業と生活者の垣根はなくなり、簡単にモノを言えるようになった。また、それが伝播しやすくなった。
だが、それはネガティブなことばかりではない。
「お客様の苦情は宝の山」という言葉がある。
そこから貴重な意見が抽出され、優良なサービスや製品が開発された事例もある。
より環境が整った今日、「宝の山」が単なる「伝説」とならず、さらに活性化されるように祈らざるを得ない。
一生活者として。かつての顧客担当業務従事者として。
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2007.10.03
2007.10.09
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。