2009.08.12
さらば「老人国家」世代交代が日本を救う~『日経ビジネス』より
寺西 隆行
(株)Z会
僕自身が強く思っている、しかし当事者ではないので言いにくい、言えない… そんな想いをバシッと語ってくれた『日経ビジネス』2009.8.10-17合併号の特集。 秀逸です。
「(若い人は年寄りから見ると)足りないところばかり、でもそれでいい。」
この言葉は、「教育」の名の下、自分が齢を重ねているがゆえに知識面で上に立ち、「教える」という立場に甘え、“分からない人”をバカにする、けなす、だけの一部の「教育に従事している教え手」に伝えたい言葉です。
教育に携わる上で、「(教えられる側は)分からなくて当然、そこからどう分かるようにしていくか」という、至極当然な思いを強く持つことで初めて「育む」という視点が生まれてきますから。
最後に。このテーマでブログを書こう!というキッカケになったのが、東京工業大学、本川達雄教授(生物学)の話です。
ベストセラー『ゾウの時間 ネズミの時間』の著者ですね。
話のタイトルが「団塊の世代は、邪魔せず謙虚に生きよ」。
◆ ◆ ◆
動物の世代交代の時間は体の大きさによって決まってきて、大きいものほど世代交代の時間がかかる。小さい動物は、環境が変わるとバタバタ死んでいくが、すぐに対応した新たな動物が誕生する。一方、大きな動物は安定しているから多少の変化では生き残るが、環境が大変化すると、世代交代が間に合わず絶滅する。
これは企業も同じ。危機や大きな環境変化とは、今までと同じにはやっていけないということ。安定期は今までの知恵や蓄積が重要だが、先が読めず過去のことが役に立たないなら、若い人に任せた方がいい。
(中略)
人間の欲望はきりがない。現代は長生きしたいとか、いつまでも働きたいとかといった時間に対する欲望は増大し続けている。
そこで問題なのはすごくカネがかかるということ。今の年寄りの医療費は、病気とは言えない。もともとガタガタになっているのが普通の状態なのに、病院に行く年寄りの医療費を国としてカバーする必要があるのか。私は年寄りを人工生命体と呼ぶ。そのままにしたら死ぬのに、大量のエネルギーとカネを使って生かしている。
高齢化社会とは、年寄りの時間に対する欲望にカネを払う。それを社会保障ということで若い人からカネを搾り取るのはフェアではない。若者が結婚できない、子供を産めない、非正規社員が仕事を失うという社会は、年寄りが権利を主張して若者をいじめていることにほかならない。
(中略)
年寄りを敬うべしという儒教の精神はあるが、こんなに長生きした年寄りは敬う必要はない。敬うべき年寄りもいるが、そうでない人もたくさんいる。年寄りは、なるべく若者の負担にならないようにして、「いずれ自分たちもそうなるのだから、殺さないでくれよ」と謙虚になるくらいが正しいバランスだと思う。
◆ ◆ ◆
次のページ次の選挙には必ず行こう。
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