6月15日にリニューアル発売された花王の「スタイルフィット」。液体洗剤&柔軟仕上げ剤だ。その競争戦略を読み解いてみよう。
と、実は筆者は思っていない。
ダウニーが開いた強烈な香りの残る柔軟仕上げ剤というポジション。強力な支持層を作りはしたものの、今までの「さわやかに香る」「ほのかに香る」ぐらいの日本の仕上げ剤に慣れた消費者の多くは一気に移行はできない。
スタイルフィットの<リラックス効果の知られる3つのアロマエッセンス>ぐらいが落ち着く人は多いはずだ。
さらに、ダウニーのパッケージを見るとそのインパクトに驚く。とにかくサイズがデカイ。一体どんだけ使えるんだという、4リッター入り。そのラベルにはカワイイ白人の女の子が描かれている。いかにもアメリカン。
それに対して、スタイルフィットは<フランスのデザイン事務所とのコラボレーション>と、いかにも上品なヨーロピアーンな雰囲気を醸し出す。
アメリカンで大人気のダウニー。しかし、それが気になりながら、一歩踏み出せない人々が実はいっぱいいる。花王はそれに気付いたのだろう。
ダウニートうべく、「激しく香る」製品を出すより、その一歩手前で止めて、お上品路線でより多くのユーザーを獲得するという、微妙な棲み分け作戦だ。
市場の中で最強だったり、競合をことごとくねじ伏せるだけがリーダーの戦いではないと、スタイルフィットの巧みなリニューアル戦略から学ばせてもらった。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。