今年2月26日に発売された花王の「メリットさらさらヘアミルク」の販売が好調だと日経MJ6月17日号の「ヒットのヒミツ」が伝えていた。記事が伝えるヒミツの、さらにその奥のヒミツを解いてみよう。
ポジショニングを変更することは、失敗すれば、従来の支持層を失う危険性を伴う大きな賭である。しかし、その賭に成功し「家族のブランド」になったメリットだからこそ、今回の「母と娘のトリートメント」が意味を持つのだ。
今まで使ったことのない女児へのトリートメント。「本当に必要なのかしら。効果があるのかしら」と考える母親。しかし、そこは「家族のメリットなら安心ね」と、購入のハードルを引き下げる効果がある。
女児向けトリートメントもメリットが市場を十分開拓した後には、やがては競合が参入してくるだろう。しかし、それまでに顧客からの指名買いで十分収益を上げられるに違いない。
では、次は「父親と息子のためのスッキリするシャンプー」などはどうだろう。
今回の「メリットさらさらヘアミルク」の成功はさらなる可能性を示唆している。「家族」という大きな括りではなく、「母と娘」などのように、家族構成をさらにう細分化し、そのつながりに対応した商品シリーズ展開も可能となるだろう。
メリットの展開は、過去に挑戦して得たポジショニングと、それを活かして顧客と市場の変化、ニーズを捉えた商品を開発。さらに、今後の展開の礎を築くという、何とも見事な展開であるといえるだろう。
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「花王『メリット』 売れ続けるとは、変わり続けることでもある」:Kanamori Marketing Office
http://kmo.air-nifty.com/kanamori_marketing_office/2007/12/7_1e2e.html
「メリットさらさらヘアミルク」商品紹介ページ:花王株式会社
http://www.kao.co.jp/merit/products2/index.html
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。