企業を継続的に成長させる上で大切な人材採用。選考過程では筆記試験や面接などさまざまな試験が課されるが、それぞれにどのような意味があるのだろうか。複数の就活生や人事担当の方のお話を聞いた上で、アイティメディア総務人事部の浦野平也氏に補足いただいた。[森田徹,Business Media 誠]
筆者も就活予備軍なので、「会ってもみないで切るなんてとんでもない!」と思う気持ちは理解できる。しかし、「クリエイティブな仕事をしたいから」「自分のリーダーシップを生かせると思ったから」などといった大衆的な抽象論を何百と読まされる人事部門が鼻白む気持ちも分からなくはない。
ところで、SPIのような大学入試センター試験レベルの簡単なテストで、果たして人材を選りすぐることができるのだろうか。浦野氏に尋ねると、「『できる』ではなく『できてしまう』」という答えが返ってきた。SPIなどは対策さえすれば容易に点数が取れてしまうのだが、「実は案外みんな点数は取れていない。『対策をする』という意識が働き、結果として点数を上げられるのであれば、ある程度は優秀な人材となれてしまうのが現実」ということだ。漠然と目的意識なくジョブ・マーケットに投入される者でも、そういったところの危機意識の違いで、今後の仕事への姿勢が分かるようである。
面接では何を見ているのか?
大半の会社では3次あるいは4次までの面接が行われる。1次だろうと3次だろうと同じ事が問われているような気がする面接だが、裏ではどのような意図が働いてこのような設計になっているのだろうか。
まず、1次面接は大抵の場合、“足切り”のためだそうである。量重視の企業だとESでは下位2割と判定できない限り落とさないので、ここで数を絞ることが重視される。多くのケースでは若手社員がいくつかのポイントのみチェックすることを命じられている。目を見て話をできるか否かなどの“コミュニケーション力”、仕事への姿勢などの“コミット力”、また企業によっては“見た目”や“従順であるか否か”もチェックされるようだ。確かに、某化粧品メーカーの女性社員は誰もが見目麗しいという話は聞いたことがあるから、そういったチェックが入る企業もあるのだろう。
次に2次面接である。1次同様足切りが2回続くこともあるが、1次で足切りが終わっている場合、ここから人事部門の“プロの目”による選抜が始まる。性格診断や事業への適合性などから、事業に対する理解度、常識理解まで「各事業部担当者に上げるに当たって必要十分なレベルに達しているか」を測る段階である。
最後に各事業部門による3次面接と、部長や役員クラスが行う最終面接についてである。前者は、2次面接で人事部門が「大体どの部署で使えそうだ」という大まかな分類をしたものに基づき、その部署の担当者が実際に現場で使えそうな人材か否かを判断する段階である。就職で最も“ご縁”がモノをいう段階だ。
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