企業を継続的に成長させる上で大切な人材採用。選考過程では筆記試験や面接などさまざまな試験が課されるが、それぞれにどのような意味があるのだろうか。複数の就活生や人事担当の方のお話を聞いた上で、アイティメディア総務人事部の浦野平也氏に補足いただいた。[森田徹,Business Media 誠]
誠読者のほとんどを占めるビジネスパーソンの皆さまにとっては、“就活”という言葉は遠い思い出の中にあるものだろう。しかし、自分の後輩となる新人がどのように選抜されているのか気になる人は少なくないはず。もちろん、筆者のようにこれから就活戦線に身を投じる大学生にとって、俯瞰(ふかん)的な視点で就職活動を眺めてみることはきっと何かの助けになるはずだ。
そういうわけで、今回のテーマは「就活というゲームのルールを知ろう」という話。企業側、面接をする側から見たイマドキの就活事情について考えていく。
人事部門は就活生に何を求めているのか? ES(エントリーシート)や面接で試験官は何を見ているのか? 我々は会社の発しているメッセージを適切に受け取っているのか? 今回の記事がそんな疑問を解決するためのヒントになれば幸いだ。
今回は複数の就活生や人事担当の方のお話を聞いた上で、アイティメディア総務人事部の浦野平也氏に補足いただいた。だが、もちろん会社の数だけ人事制度はあるはず。総合職採用を想定した流れで一般化して書いてはいるが、その点は留意して読んでいただきたい。
新卒採用の分類と企業の採用戦略
まず企業の新卒者選考過程を見てみよう。新卒採用の選考は(1)ESによる書類選考、(2)筆記試験、(3)GD(グループ・ディスカッション)、(4)面接、の4つに分類できる。もちろん、企業によっては(1)と(2)が融合していたり、(3)が省略されていたりとバリエーションはさまざまだ。
これらの過程でどういったふるい落としが行われるかは、各企業の人的資源に対する考え方によって左右されてくる。少しだけ人事の視点に立って、人的資源について俯瞰的に考えてみよう。
人的資源にもパレートの法則が成り立ち、上位2割程度の“光る”人材、中位6割程度を占める“普通の人”、下位2割程度の“明らかにその企業に合わない人材”に分かれるそうだ。下位2割はどの企業でも必要とはされないのだが、問題は中位6割の扱いである。
新卒採用戦略を見ると企業は2パターンに分かれ、上位2割の上澄みのみを必要とする“質”重視の企業、組織が巨大なためにある程度の“量”が必要な企業に区分できる。例えば、当初はベンチャー企業で新卒には質を重視した採用方式をとっていた企業でも、事業が大きくなるにつれ、組織に厚みを持たせるため“量”重視の採用方法に転換し、中位6割もすくい取れるような採用方式をとっている場合がある。
次のページ就活の“足切り”――書類選考と筆記試験
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