オバマ政権が誕生して5ヶ月弱。「Change」を合言葉に誕生した新政権は、世界をどう変えていくのだろうか? 宮台真司『日本の難点』にあった興味深い視点をもとに考えてみた。
焦点は中国の『Change』と変わる世界のパワーバランス
では、中国はこうした一連のアメリカの動きをどう読むか。千載一遇のチャンス到来、と考えるはずだ。もとより中国にしても経済状況が盤石などとは決して言えない。相変わらず8%程度の経済成長を維持しているとはいえ、内実は相当に危なっかしいのだと思う。
だからこそアメリカが中国に対して絶対に強く出られない現状を、どうすれば最大限、自国にとって有利に活用できるかを考え抜いているところではないだろうか。今のところ目立った動きはないようで、まずは来年の上海万博で、いかに国威を発揚するかが目下の課題なのだと思う。
けれども、中国がこの好機を生かさないことは考えられない。民主化要求、少数民族問題、資源に環境、格差の進行などなど、およそありとあらゆる社会問題を抱えているのが、いまの中国ともいえる。個々の問題解決に、いまのポジションがもたらす力をどうすれば使えるかを考えているだろう。
それが行動となった時にアジアのパワーバランスは大きく変わる可能性がある。日本として何より注意しておくべきは、感情的には目の上のたんこぶでありながら、経済的に依存関係にならざるを得なかった日本との関係をどう切ってくるか。
すでに兆候はあるのだ。レアメタルなどは、いくら金を積んでも日本には(レアメタルの場合、相手国は日本だけに限定していないはずだが)売らない、という判断が下されている。ごくささいなレベルでいえば、割り箸だってそうである。だからコンビニでラーメンを買ったときに「割り箸はおつけしますか」とたずねられるようになったのだ。じゃ中国産食品はどうなるだろうか。
また中国が突出し始めた時にロシアやインドはどう対応するのか。アメリカ、中国、ロシアにインドといえば、いずれも日本企業にとっては生命線となり得る重要な拠点でもある。中国の進路とそれが及ぼす影響は、よくよく考えておく必要があると思う。
『日本の難点』宮台真司/幻冬舎新書
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2015.07.17
2009.10.31