6月1日発売の「ファンタ もみもみ フローズン」。「ふるふる」で炭酸飲料に禁断の「振る」という属性を加えたファンタは、1958年の発売以来、ついにここまで来たかという進化を遂げた。
ファンタであって、ファンタでないファンタを上市する日本コカ・コーラの意図はなんだろうと考えてみる。それは、コンビニの「棚獲得」ではないだろうか。
「アクエリアス 冷凍PET」でコンビニの冷凍棚へコカ・コーラは戦場を拡大した。飲料棚からの拡大は、まさにエポックメーキングなできごとであろう。そして、その製品の派生商品である「アクエリアス ビタミンガード 冷凍PET」を展開。2フェース獲得である。
その「アクエリアス ビタミンガード 冷凍PET」を引っ込めての、「ファンタ もみもみ フローズン」の展開だ。確かにアクエリアス2商品はターゲットがかぶる。ファンタであれば、若年層を中心とした新たなターゲットを拡大できる。
新たなターゲットのどんな需要を獲得したいのか。
「ふるふる」は、ゼリー状ではあるが、まだ確かに飲料である。しかし「もみもみ」は正直、飲んだ気がしない。「冷凍PET」は溶けて冷え冷えの所を飲むのが正しい使用法なので飲料であることは間違いない。しかし、「もみもみ」は「食べる」のが正しいのだと思う。
日本コカ・コーラが「飲料であって飲料でない」製品を発売したのだ。だとすると、この商品の競合はなんだ?
ズバリ、コンビニのアイスクリーム棚に陳列されている商品群ではないだろうか。コカ・コーラの営業力を持ってしても、飲料棚を離れて、アイスクリーム棚に展開するのは難しい。ましてや、飲料以外の製品を開発するのも大変だ。だとしたら、飲料に別の属性を加えればいいのではないかとの意図ではないだろうか。
企業の成長戦略を考える、「アンゾフのマトリックス」は、既存製品で勝負するのか、新製品を開発するのかと、既存市場・顧客を狙うのか、新規市場・顧客を開拓するのかというかけ算で考える。既存顧客は少子高齢化の潮流から考えれば縮小は明確だ。かといって、ファンタは年齢を問わない一部マニアな層がいるものの、若年層以外を開拓するのも骨が折れる。だとすると、既存顧客に新たな商品属性を訴求するのが正解だ。
ファンタの顧客層に、「ファンタであってファンタでない」、「もみもみ」を、飲ませるのではなく食べさせる。
もみもみして、シャリシャリ食べながら、日本コカ・コーラの深謀遠慮が伝わってきた。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。